ポーカーハート
︵
ガチガチだな︶
、
広橋は鼻で笑っ
た。
、
手は僅かに震え、
瞳の動きは定まらない
。
﹃
﹄
。
悪手だ。
っ
た。
焦る度に腕時計を見ているのだ
。
馬鹿でもわかる。
ャ
ンブル漫画か何かだっ
たら、
実は癖まで全て自分を騙すためのブラフで
、
実は最後の大勝負に逆転するための布石だ
っ
た:
:
。
︵
:
:
そうだっ
たら褒めてやるよ。
千両役者だ︶
、
言うことは。
勿論有り得なかっ
た。
﹁
ショ
ウダウン﹂
、
結果は見えている。
劇的な逆転劇は
、
起こりえない。
﹁
:
:
:
:
K
の、
ツ|
ペアです﹂
、
本格的に歪む。
それは勿論、
ポジティ
ブな意味
:
:
勝利を確認しての笑顔だっ
た。
﹁
ツ|
ペアに賭けちゃ
うかね|
。
ほい、
フラッ
シュ
っ
と
﹂
|
ドは、
確かにダイヤ一色だっ
た
。
っ
た顔が、
みるみる白くなっ
て震える
。
|
ムセッ
ト。
冴えない男がかき集めた四十万円は、
見事に鼻ピアスをした大学生のポケ
ッ
トに消えた。
︵
ま、
残金三万の崖っ
ぷちで少しでもまともな手が来たらああもなるか
。
それにしても:
:
なんちゅ
う雑魚だ、
このオ
ッ
サン︶
、
あがががが:
:
と崩れ落ちる冴えない男:
:
村田に
、
オ|
ナ|
が哀れみを込めながらウィ
スキ|
を差し出す
。
﹁
飲むかい?
﹂
﹁
:
:
まだ:
:
まだです:
:
﹂
、
尚も村田は諦めない。
、
どうにかそれを抜き取
っ
た。
﹁
奮発して買っ
た、
プラチナ製です:
:
質屋に持っ
ていけば
、
十万:
:
い、
いえ、
七万くらいにはなるかと:
:
﹂
﹁
ふ|
ん﹂
、
確かにそこそこ金にはなりそうだ
。
そんな印象を持っ
た広橋は、
継続を快諾した
。
﹁
十万っ
てことでいいよ﹂
︵
別に二束三文でも構わない:
:
折角だから貰えるもんは貰
っ
ておこうか︶
。
この場にいる全員が、
そう思
っ
ていた。
、
本心ではそんな事わかりきっ
ていた。
だが
、
それを認めようとはしない。
、
絶対に負けられない理由が一つ、
存在していた
。
﹁
おいおいおいおいおい、
もうやめとけっ
ておっ
さん。
今日はもう無理だよ 今度勝てばいいじ
。
な?
ゃ
ん﹂
ッ
フの内、
一番若い茶髪の男がそれを制止した
。
っ
たスタンスで営業しているが
、
死人や、
それに近い状態で出られるのは勘弁だ
。
|
ナ|
も年配のスタッ
フも、
茶髪の説得を止めはしない
。
々
趣味で始めたマンショ
ンカジノだ。
常連には多少の金こそ貸すが
、
ケツの毛まで毟り取るほどの事はしない
。
っ
た娯楽になればいいと言うくらいの感覚で
、
違法性こそあるが摘発以外の危険性はほぼ無いのが裏カジノシルヴである
﹃
ェ
スタ﹄
。
﹁
今勝たないと:
:
娘の治療費が、
払えないんです:
:
﹂
、
目の端から涙を吹き出しつつも
、
村田は喋り続ける。
﹁
稼ぎの少ない私に:
:
私を:
:
妻も娘も、
文句一つ言わずに
、
支えてくれました:
:
。
、
満足に治療させてやることもできずに
、
我慢させて:
:
。
、
細々
と貯金を続け:
:
あと一息と言う所で
、
病状は悪化:
:
すぐにでも入院させて手術を受けさせないといけない
、
そう言われたのです:
:
。
、
あと百万:
:
親戚も知り合いも闇金融にだっ
て頭を下げて
、
どうしても足りなかっ
た:
:
。
:
:
今勝たなければ、
私は親としての役目も果たせないただの愚図だ
:
:
。
、
私は愚図でも凡愚でもなんでもいい:
:
いいんです
:
:
娘が助かるなら、
私は:
:
﹂
︵
アホか︶
、
広橋はどうにか堪えた
。
らそうなるのだ
。
、
足りない治療費をギャ
ンブルで稼ぐ?
分で言うまでもなく愚の骨頂である
。
ろう
。
ャ
ンブル以前に、
人として雑魚だ。
凡人未満だ。
:
:
と、
一瞬でそんなツッ
コミが浮かぶほどに広橋は呆れ返
っ
た。
︵
そもそも、
そんな話信じられるか。
今適当にでっ
ち上げて安い同情を誘
っ
た:
:
:
:
と思っ
たが、
どうやら嘘は言っ
てないようだな︶
。
﹁
うう:
:
そんな事情があっ
たなんて:
:
﹂
﹁
こいつは何とも:
:
泣かせてくれるじゃ
ねぇ
かよ:
:
﹂
﹁
何負けてるんだよおっ
さん!
つんだよ
!
!
﹂
ッ
フ一同は涙ぐみながら話に聞き入っ
ていた。
﹁
アホか!
!
﹂
っ
た。
堪えられなかっ
たから仕方がない
。
﹁
なんでそんな話に同情できるんだアンタらは!
ャ
ンブラ 疑うのが仕事だろ
|
だろう!
?
:
:
簡単に信じるなよ
!
!
﹂
っ
て答えたのは男泣きするオ|
ナ|
だっ
た。
﹁
ギャ
ンブラ|
だからだよ、
兄ちゃ
ん。
俺達は単純で馬鹿なんだ
。
信じたいものを信じるだけ、
騙されたら笑えばいいのさ
﹂
﹁
:
:
理解できね﹂
、
と心中で毒づく。
︵
お前等はギャ
ンブラ|
でも何でもない。
ただの社会不適合な敗北主義者だ
。
:
:
まあ、
俺は金さえ稼げれば相手は誰でもいい。
むしろ馬鹿の方が好都合だ
︶
﹁
で、
娘が病気なのはいいんだけど、
やるの?
ないの は
?
っ
きりしてよ﹂
、
遊技台に足を乗せる広橋。
、
スタッ
フらは村田の様子を見守る
。
﹁
やります:
:
!
:
:
私の帰りを、
待っ
てるんだ
:
:
!
﹂
、
冴えない中年男性
。
﹁
:
:
:
:
アンタじゃ
無理だ﹂
﹁
でしょ
うな﹂
|
ナ|
と年配スタッ
フの意見が一致した。
﹁
でも:
:
!
﹂
ッ
フは、
歯痒さに悶えた。
、
あまりにも残酷だ。
、
それをも上回る残酷だっ
た。
。
村田と広橋の差は歴然だ。
万に一つも
、
彼に勝機は無い。
。
﹁
:
:
兄ちゃ
ん。
時間に余裕はあるかい?
﹂
|
ナ|
が話を切り出した。
﹁
あるけど:
:
どうすんの?
﹂
﹁
二人にいい話がある。
兄ちゃ
んは更なる大金を手に入れられるかもしれないし
|
|
|
|
村田さんは、
ここから奇跡の大逆転を迎える可能性が生まれる
﹂
、
オ|
ナ|
は携帯電話をポケッ
トから取り出した
。
ッ
フ二人に、
緊張が走る。
﹁
オ|
ナ|
:
:
﹂
﹁
呼ぶんですか、
彼を:
:
?
﹂
︵
:
:
代打ちか?
︶
。
︵
お抱えのギャ
ンブラ|
か、
腕利きのスタッ
フか:
:
いずれにせよ
、
完全に向こうのホ|
ムだ。
ッ
フがフォ
ロ|
する可能性もあり得るな
。
、
イカサマだろうがハッ
タリだろうが俺には通用しないが
:
:
グルになっ
て知らぬ存ぜぬで通されれば面倒だ
︶
﹁
誰か呼ぶのは別にいいよ、
審判が公平だっ
て証明できるのならね
﹂
|
ナ|
は、
通話をしていない携帯電話に向か
っ
て大声で話し始めた。
﹁
っ
たく、
イカサマだっ
て事も気付かずによくもまあ頑張るよ こ
!
っ
ちは稼がせてもらっ
てるから構わんけどな は
!
!
っ
はっ
は!
!
:
:
と﹂
っ
た後、
ボタンを押して広橋に携帯を手渡した
。
﹁
録音完了だ。
文句があるならこれを警察にでも持っ
ていけばいい
。
こっ
ちは詐欺罪であんたはノ|
リスクだ﹂
﹁
:
:
暴力に訴えない証明は?
﹂
﹁
俺達がやくざもんに見えるかい?
、
どっ
ちだろうと客に暴力振る
っ
たと知られりゃ
商売上がっ
たりよ﹂
﹁
ま:
:
それもそうだね。
いいさ、
誰でも呼べばいい﹂
︵
嘘は言っ
てないか:
:
なら、
いい。
誰が来ようと、
俺に勝てるはずがないんだからな
︶
ぃ
と笑う広橋。
彼は既に思考を、
勝ち金の使い道に費やしていた
。
、
最初は知らない人に娘の命を預けられないと渋
っ
たが。
﹁
必ず勝てるとは言わないが、
アンタよりは絶対にマシだ
。
娘を助けたいんなら、
少しでも可能性の高い方にかけるべきなんじ
ゃ
あないのか?
﹂
、
結局提案を了承した。
|
ナ|
は若手スタッ
フに命じ、
家でだらけているであろう男を召喚する
。
。
。
|
カ|
・
ハ|
ト﹁
ちゃ
|
っ
す﹂
っ
てきたのは、
痩せ気味なロン毛の青年
。
。
明らかに寝起きだっ
た。
﹁
おう、
ご苦労。
実はこの人がな、
娘の治療費を稼ぐために
:
:
:
:
﹂
﹁
マジで?
、
そりゃ
俺勝たないといけないじゃ
ん
:
:
:
:
﹂
︵
:
:
こいつが?
︶
|
ナ|
が説明してる間に、
広橋は穂村の﹃
﹄
開始する
。
っ
ぱなしでリアクショ
ンする度に見え隠れする顔は
、
手入れしていない無精髭も相まっ
て、
凡庸なプ
|
タロ|
と言っ
た風体である。
、
服装は上下灰色のスウェ
ッ
ト。
カジノと同じマンシ
ョ
ンに住んでいたので、
サンダルを履いて鍵を閉めただけでここにや
っ
てきたのだ。
﹁
とても凄腕のギャ
ンブラ|
には見えないけどなぁ
﹂
。
|
ナ|
は、
チッ
チッ
チと指を振る古臭いリアクシ
ョ
ンを返した。
﹁
甘いぜ兄ちゃ
ん。
兄ちゃ
んもギャ
ンブラ|
なら、
クリス
∥
ジェ
ルマンの名前くらい知っ
てるだろ?
﹂
﹁
クリス∥
ジェ
ルマン?
いろ言われまく
っ
てたアイツか:
:
﹂
っ
た。
∥
ジェ
ルマン。
年齢不明性別不明国籍不明本名不明と謎だらけのギ
ャ
ンブラ|
。
。
でかいギャ
ンブルにふらっ
と現れて場を征服し
、
全てをかっ
さらっ
てどこかへ消える。
が独特の色気を持
っ
ており、
その姿は見るものを魅了すると言う
。
、
彼の見た目は当時から全く変化していないらしい
。
、
彼︵
彼女︶
はサン∥
ジェ
ルマン伯爵の末裔であるとまで噂されていた
。
﹃
﹄
。
・
クリス∥
ジェ
ルマン。
︵
うさんくさい話ではあるが:
:
噂の半分が嘘だっ
たとしても
、
十二分に最強を名乗れるレベルではある。
、
正直な所:
:
俺なら勝てるんじゃ
あないかね︶
﹁
で?
?
﹂
﹁
心はクリスとギャ
ンブルをしたことがある﹂
﹁
は!
?
?
、
勝っ
たの!
?
﹂
﹁
いや、
負けた﹂
﹁
負けたのかよ!
!
﹂
﹁
それも:
:
えっ
となんだっ
け、
いくら負けたんだっ
けお前
。
四億?
﹂
っ
ている癖にニヤニヤと尋ねるオ|
ナ|
。
彼はこの件について深
|
い恨みがあっ
た。
﹁
:
:
その話やめてくんないオ|
ナ|
?
蘇るんだけど
﹂
﹁
超ボロ負けじゃ
ねぇ
かよ!
!
んだよ
!
!
!
﹂
﹁
それはまあ、
色々
と事情がありましてね:
:
複雑な:
:
凄惨な:
:
﹂
︵
ああ:
:
︶
﹃
﹄
、
どうやら真実である
。
そして命に関わらない程度に大事なものを失
っ
たようだ。
ュ
ッ
と締めているのを見れば、
なんとなく検討はついた
。
﹁
そりゃ
、
災難だっ
たな﹂
ゃ
そんなもん犬に噛まれたようなもんだろ
、
と適当に流し、
広橋はオレンジジュ
|
スを頼む
。
﹁
そんな自慢にもなりゃ
しねぇ
武勇伝はどうでもいいからさ
、
とっ
ととやろうぜ﹂
﹁
ああ:
:
よろしく﹂
っ
た。
っ
ているわけでもなく、
満腹なわけでもなく、
、
小便が近いわけでもなく
、
、
ギンギンに冴えているわけでもなく
、
、
リラッ
クスしきっ
ているわけでもなく
、
、
かと言っ
て適温と言うわけでもなく
、
っ
た。
|
マル。
フラッ
ト。
アベレ|
ジ。
。
それが心の、
ギャ
ンブラ|
としてのやりやすい型だ
っ
た。
﹁
先に言っ
ておくが、
金の貸し借りは当人同士が納得していないと成立しない
。
これは絶対のル|
ルだ。
破っ
たら今度こそ殺す
。
分かっ
たな心﹂
﹁
はい﹂
|
ナ|
に首を傾げつつ、
広橋も頷く
。
﹁
ディ
|
ラ|
は私、
芥川が努めます。
公平を期しますが
、
何か不満があればすぐにでもおっ
しゃ
っ
て下さい﹂
ッ
フが、
新品のトランプを開封して言っ
た。
﹁
それでは、
開始致します﹂
ェ
スタのポ|
カ|
ル|
ルは実にシンプルなものである
。
ェ
ンジは一回、
レイズも一回。
ッ
トと最高ベッ
トは客同士で決める。
﹁
最低ベッ
トは一万。
最高は:
:
決める必要、
ある?
﹂
、
青天井だっ
た。
、
上限など必要あるまい。
﹁
いや、
いいよそれで﹂
っ
て来た間抜け極まりないカモに、
広橋は嬉しさを隠そうともしなか
っ
た。
︵
本日はいくら持っ
てきてくれるんだ?
ャ
ンブラ
|
くん︶
、
広橋はここで自分にしか気付けない異常に気付くべきだ
っ
た。
、
気づいてはいた。
が、
それほど気にもとめなかっ
た
。
ャ
ンブルを始めれば、
すぐにボロを出すだろう。
そう高を括
っ
ていたから。
︵
ワンペアか︶
|
ドを見てすぐ、
広橋は二枚チェ
ンジする。
。
彼にとっ
て、
自分の手札はそれほど重要ではない
。
|
ムの勝敗に至っ
ては、
全く重要さを感じ得ない
。
適当に流していればいいのだ。
︵
さて:
:
︶
﹃
﹄
。
|
カ|
において、
いや全ての対人ギャ
ンブルにおいて
、
相手の挙動を見る事は勝敗をダイレクトに左右する。
、
最悪全部の手が負けていても勝負に勝てる
。
。
圧倒的に勝っ
ていれば勿論有利だし、
駆け引きをする以上数回の勝負で押し切られない程度は
最低限だろう
。
、
あくまで拮抗した時の最後の錘だ。
。
、
心理戦において絶対に負けない自信と根拠を持
っ
ている。
︵
﹃
﹄
︶
|
ドを透視することは、
彼にはできない。
、
広橋は相手の心理を読み取る。
、
視線、
瞬き、
手の動き、
口元の緩み、
汗の量、
果ては動脈の動きまで
|
|
、
身体状況から。
。
︵
信じる奴はいなかっ
た。
全員、
嘘だろうと心で思っ
ていた
。
、
そう思えばいい。
そっ
ちの方が、
都合がいいしな
︶
、
広橋の﹃
﹄
力
。
、
相手の心臓の動きまで耳に聞こえてくる
。
冷や汗の臭いすら、
ピアスで敏感になっ
た鼻が感じ取る
。
、
少なくとも彼はギ
ャ
ンブルで負けた事はない。
、
広橋には嘘もハッ
タリもイカサマも通用しない。
、
無敵だっ
た。
︵
:
:
これと言っ
て、
動きのない奴だな。
様子見だ︶
|
ドは9
のスリ|
カ|
ド。
これまで村田から徴収した金からすれば屁みたいな額を
上乗せし
、
手札を卓に伏せる。
﹁
コ|
ル﹂
っ
と同額のチッ
プを賭ける心。
ョ
ウダウン。
心の手札は|
|
﹁
ツ|
ペア﹂
﹁
スリ|
カ|
ド。
俺の勝ちだ﹂
ッ
プを回収しながらも、
広橋は心の様子をずっ
と伺
っ
ていた。
っ
た。
まあ、
これからだ。
、
思っ
ていた。
﹁
おりるわ﹂
︵
ふむ︶
﹁
ストレ|
ト﹂
︵
おい︶
﹁
ツ|
ペア﹂
︵
おいおい︶
﹁
おりる﹂
︵
待てよこら︶
﹁
フォ
|
カ|
ド﹂
︵
ふざっ
:
:
︶
っ
ても同じだっ
た。
、
汗が伝っ
てゆく
。
︵
なんでだ:
:
なんで、
何も癖を見せない:
:
!
?
︶
、
なんて事は当然有り得なかっ
た。
、
背中だっ
て堂々
とかく。
。
それらの動きが手札に反映されることは、
全くと言
っ
て無かっ
た。
﹃
、
有っ
て四十八癖﹄
、
人には癖というものがある
。
、
大部分が精神状態によっ
て生まれるものであるのだ
。
ャ
ンスだから、
あるいはピンチだから、
鼻を動かす。
耳が震える
。
目を細める。
息を飲み込む。
髪を弄くる。
目線がチラチラ動く
。
瞬きが多くなる。
眉を顰める。
頬を掻く
。
、
それらは思考に同期して自然に
、
無意識に動くものである。
、
この男は違っ
た。
、
と考えて、
耳に小指を突
っ
込み。
っ
てるんだよね、
とほぐして回っ
たり。
っ
てね|
や、
とボリボリ掻きむしっ
たり。
々
と行うそれは、
二度繰り返されることは無かっ
たし
、
アクショ
ンを起こしたからと言っ
て良手になるわけでも悪手になるわけでも無か
っ
た。
︵
こいつの動きは、
精神からきているものではない:
:
この挙動は、
勝負とは関係なく行っ
ている:
:
!
︶
。
ャ
ンブルをせずに酒を呑んで駄弁
っ
てたとしても、
彼は同じ行動をとっ
ていた事だろう。
︵
こいつには、
感情が無いのか?
、
そんな事あり得ない
:
:
ならば、
この間抜けは:
:
まさか、
何も考えてないのか
:
:
!
?
︶
、
自分でいやいやと否定する広橋。
|
カ|
はできない。
目の前の敵は、
最低限手の良し悪しを練
っ
ているのだ。
︵
上等じゃ
ねぇ
か、
じゃ
あ、
無理矢理にでも癖を出させてやんよ
|
|
!
!
︶
﹁
そろそろ本格的に勝負と行こうか﹂
﹁
本格的、
とな﹂
﹁
ああ。
最低ラインが十でいこうぜ﹂
ッ
プを十枚。
そして自分のプライドも、
一緒に賭けた
。
ャ
ンブラ|
のではなく、
自分の﹃
﹄
的な自信
。
︵
男の裸に興味はねぇ
が|
|
こいつは、
丸裸にしてやる
。
金を奪っ
て、
猫背になっ
てみっ
ともなく汗をかきながら手はガクガクと震えて泣きそうな面をしてクラスの
目立たね
|
女子よりもか細い声で負けを宣言するまで、
徹底的に暴いてやる
:
:
!
!
!
︶
、
広橋は心への勝利を決意する。
、
始まっ
た。
︵
つまらないなぁ
︶
、
そう感じていた。
ャ
ンブルル
|
ムに乗り込んだものの、
久しぶりすぎてつい全員丸裸にしてしまい敗北者の一人に正体がバレてしまう
。
、
後は同じだ。
誰も相手になっ
てくれない。
確実に負けると決ま
っ
ている相手に勝負を挑む馬鹿はいなか
っ
た。
っ
たが、
唯一手加減だけは苦手だ
っ
た。
、
全力を出すから面白いのだ。
お互いが後先考えずに勝負するから
、
ギャ
ンブルはやめられないのだ。
ャ
ンブルなど、
ままごと遊びみたいなものだ
。
﹁
負けるかもしれない、
でも絶対に負けたくない﹂
がクリスである
。
、
ギャ
ンブル仲間というものがいなか
っ
た。
。
それにも関わらず
、
リベンジを挑むものは皆無だっ
た。
っ
てきたクリスは、
強すぎて孤独にな
っ
てしまっ
たのだ。
ィ
ガ|
ドのケビンがいたが、
彼はギ
ャ
ンブラ|
ではない。
︵
周りは僕がイジメているみたいに見えるだろうけど:
:
僕は、
イジメられている気分だ︶
、
クリスは席を立っ
た。
、
そこで|
|
彼が現れた。
﹁
あいつだあいつ、
クリス∥
ジェ
ルマンだとよ﹂
﹁
ほへ|
マジっ
すか。
折角だし記念に対戦してこよっ
かな
。
席空いてます?
﹂
ょ
っ
こり現れた日本人。
ェ
スタのオ|
ナ|
が懸賞で当たっ
た旅行に勝手に付いてきた男
。
、
クリス∥
ジェ
ルマンが出会っ
たのは、
ほんの僅かな偶然だ
っ
た。
﹁
いや|
まさか、
クリスさんっ
て日本語喋れるとは思わなか
っ
たよ。
何人なの?
﹂
﹁
:
:
﹂
﹁
すごいよね、
何その銀髪?
?
ロ
|
ゼンメイデンか何かだと思っ
たし﹂
﹁
:
:
﹂
﹁
っ
てかそもそもさ、
あ、
っ
てかこれ聞いていいのかどうかわからないんだけど 女
、
クリスさんっ
て男?
?
﹂
﹁
:
:
﹂
﹁
結構いい歳のはずなのに外見が子供だから魔女みたいだけど性別がわからないから魔人
っ
て凄いよね色々
。
中学生の妄想レベルだよね
。
で、
実際のとこ何歳なん?
﹂
﹁
:
:
﹂
﹁
あの:
:
クリスさん?
﹂
﹁
:
:
勝負の途中なのに、
随分どうでもいい事を考えるんだね
﹂
﹁
す、
すんません﹂
|
やべ|
怒らせちっ
た、
と心は黙りこんでしまっ
た
。
。
勿論、
心の負け分だ。
っ
ているというよりも、
退屈していた。
、
相手の精神状態から癖を読み取るなんて初歩の初歩だ
。
嘘を見抜くなんて、
半分寝ていてもできる
。
っ
た。
、
これといっ
てギャ
ンブルが強いわけでは無かっ
た
。
運も特別良いわけでなく、
イカサマもハッ
タリもしてこない
。
、
ギャ
ンブルに集中していないかのように、
その思考は読み取れなか
っ
た。
、
と言うか|
|
︵
全く、
集中していない︶
。
っ
てギャ
ンブルをしていると言うので頭が一杯にな
っ
ていて、
ギャ
ンブルは片手間でこなしている
。
、
心はクリスに興味深
々
だっ
た。
︵
つまらないなぁ
︶
、
そう感じていた。
、
目の前の男もそこらの自称ギャ
ンブラ|
と大差無い
。
、
思い出作りに勝負しているだけ。
勝つ気など
、
さらさらないのだ。
っ
ていても、
何の意味もない。
っ
さと無一文にして、
終わらそう。
っ
た所だっ
た。
﹁
おい心、
そろそろやめた方がいいんじゃ
ないのか?
﹂
﹁
それなんですけど:
:
オ|
ナ|
、
ごめん﹂
﹁
え、
何だよ何で謝るんだよ﹂
﹁
クリスさん、
ああもう面倒だからクリスでいいでしょ
。
年下に見えないし
﹂
﹁
何?
﹂
﹁
一億ほど貸してくれない?
﹂
﹁
は?
﹂
っ
た。
ャ
ンブルが終わっ
た後に金を持っ
て行くなとゴネた奴はいても
、
ギャ
ンブルの途中で対戦相手に金を借りようとする馬鹿は未だかつて出会
っ
たことは無かっ
た。
﹁
言っ
てる意味がわからないんだけど﹂
、
ある画像を引っ
張りだした
。
撫で回す
、
オ|
ナ|
の写真だっ
た。
﹁
このおっ
さんが買っ
たばっ
かのカウンタッ
ク持っ
てる
。
これを担保に一億貸してちょ
﹂
﹁
ウオアアアアアアアアアアアア!
!
!
!
﹂
|
ナ|
が絶叫し、
心に飛びかかる。
それをひらりと躱し
、
クリスの背に回っ
た。
﹁
やめろ!
!
!
!
!
!
!
!
!
!
!
!
﹂
情をしながら叫ぶオ
|
ナ|
。
ッ
フがわらわらとやっ
てきて、
暴れる彼を抑えた。
﹁
大丈夫だオ|
ナ|
!
!
﹂
﹁
は?
﹂
っ
た。
?
っ
て?
﹁
やめろォ
ォ
ォ
ォ
ォ
ォ
ォ
!
!
!
!
!
!
﹂
|
ナ|
をよそに
、
よいせっ
と心が席につく。
﹁
ほら早く、
合意しちゃ
えばあのおっ
さんも何もできないから
﹂
﹁
僕に勝つっ
て、
本気で言っ
てるの?
﹂
﹁
うん﹂
﹁
うん﹂
は、
友達に﹃
|
メン屋行
っ
た?
﹄
っ
て聞かれた時と全く同じト|
ンだっ
た
。
っ
たよ、
の代わりに、
心はさも当然のように言う
。
﹁
勝つよ﹂
。
、
例え子供が相手でも、
蟻が相手でも、
ミジンコが相手でも
、
ミトコンドリアが相手でも。
、
徹底的に叩き潰したくて仕方がなか
っ
た。
っ
た。
っ
た。
|
ナ|
は泣いた。
︵
﹃
﹄
:
:
何も、
映らない:
:
!
!
︶
、
心の精神はなお揺らぐことは無か
っ
た。
|
タルでは、
勝っ
ているのは広橋だ。
このまま続いていたら
、
近い内には広橋が総取りしているだろう。
、
傍から見て明らかに動揺しているのも、
広橋の方だ
っ
た。
。
鼻ピアスの感触を確かめるように、
人差し指で弄り回して
、
鼻の感覚を鋭敏にする癖が。
、
烈火の如く怒っ
ていただろう
。
それほどに、
彼の神経はささくれだっ
ていた
。
﹁
五十万だ﹂
ャ
ラリ|
の緊張が、
見なくても伝わっ
てきた。
。
金額
。
。
こいつが来た意味は、
何もない。
、
後は金でゴリ押しして終わりだ。
ッ
シュ
。
喉元に刃を当てて、
それでも平静を保
っ
ていられるか。
︵
俺に﹃
﹄
:
:
!
っ
ている
、
てめぇ
の、
中に潜む焦燥を:
:
ッ
!
︶
。
岩をもぶち抜きそうなほどの集中した精神感応
︵
テレパシ|
︶
は、
心を焼き穿たんと音速を遥かに超えて貫く
。
、
ようやく心の﹃
﹄
。
︵
!
!
︶
。
、
どんどん早く、
そして大きくなっ
ている事を
。
。
呼吸が荒くなる。
それはほんの僅かな反応だ
っ
た。
だが、
広橋の五感には十分すぎる動きだ。
。
それを刈り取る、
捕食者の表情へと
、
広橋が変わる。
︵
できんじゃ
ねぇ
か、
ポ|
カ|
ハ|
トくん:
:
!
っ
と 俺の前で醜態を晒せ
:
:
もっ
とだ:
:
!
!
ッ
!
!
︶
。
、
獲物は完全に巣から出る。
﹁
どうする?
、
もうお前に勝ちの目は無いぜ
?
﹂
︵
さあ:
:
もっ
と!
︶
、
更に速くなる。
、
それはもう止まらないし止めることはできない
。
︵
そう!
!
!
!
!
恐怖しろ も も
!
っ
と!
っ
とだッ
!
!
︶
、
心はギャ
ラリ|
にも聞こえるほど大きく深呼吸をする
。
︵
それで!
?
っ
てかァ
!
?
、
冷静になります 馬鹿が もう無理だよ
っ
てかッ
!
?
!
!
!
ェ
はもう止まれねぇ
ッ
!
!
!
︶
。
心はもう止まらない。
、
広橋が勘違いしていることが二つあっ
た。
、
心が冷静になるつもりなどさらさらないこと。
、
広橋が思っ
てるより、
とても、
遥かに、
とんでもなく
|
|
|
|
心は、
大馬鹿であると言う事。
︵
:
:
:
:
おい︶
、
異常にやっ
と気付く。
、
あまりにも心の鼓動が大きすぎる。
﹃
﹄
、
一目でわかるくらいの興奮。
。
まるで全力で1
0
0
0
M
を駆け抜けている最中のそれだ
。
っ
ていた肺は荒れに荒れて過呼吸じみた運動で酸素を燃やしていた
。
っ
ている。
先程の覇気の欠片も見えなかっ
た心と同一人物とは思えない
、
ギラギラした猛獣の眼光を成している
。
、
オ|
ルバッ
クにして後ろで縛る。
っ
た。
﹁
へぇ
﹂
っ
た。
、
一瞬にして周囲の体感温度を1
0
度近く上げさせ、
びりびりとした圧力を全方位に放っ
た
。
﹁
やろうぜ、
やろう!
!
、
クリス!
!
!
﹂
、
男は言う。
ブレ|
キを邪魔だからとへし折
っ
てぶち壊した狂人の顔で。
。
。
﹁
いいね:
:
いいよ:
:
僕、
君みたいなのを叩き潰したくて仕方なか
っ
たんだよ!
!
﹂
﹂
、
あまりにも久しぶりの勝負だっ
た。
っ
たが、
心臓が狂喜に震えた。
突発的な欲情にも似たそれが
、
目の前の生意気な相手を食いたいと叫んでいる
。
。
探ろうとも思わない。
ただ今は
、
勝負がしたかっ
た。
。
この魔人に勝てると本気で思っ
ている大馬鹿を
、
真正面からぶちのめしたい。
ョ
ウダウン。
|
ム内を、
この船が氷山に激突したような轟音が支配した
。
っ
た。
っ
かりしている。
、
五分と言っ
た所だっ
た。
﹁
ストレ|
トォ
!
!
!
ァ
ァ
ァ
ァ
ッ
シュ
!
!
!
!
﹂
ッ
シュ
を、
心はその手で粉砕した。
︵
わっ
:
:
ざめいか、
と思っ
た:
:
!
!
?
何が起きた
!
?
︶
。
部屋に響く爆音。
っ
た。
﹃
﹄
、
これだ。
神経に直接打撃を食ら
っ
た気分だっ
た。
、
綺麗に並ぶハ
|
トの3
4
5
6
7
。
5
0
万の、
敗北を意味していた。
﹁
負けた!
?
:
:
!
﹂
。
っ
た、
カウンタ|
の一閃。
広橋の動揺など
、
誰が見ても明らかだっ
た。
︵
まだだ:
:
まだ有利なのは俺の方だ:
:
!
、
落ち着いて観察を
﹃
﹄
:
:
!
︶
、
広橋は絶望した。
︵
何を:
:
!
?
﹃
﹄
:
:
!
?
︶
っ
た。
。
止むこと無く、
爆ぜ続けている
。
。
、
心は引くことなどほんの僅かも考えていないのだから
。
|
|
心はもう止まらない。
っ
た。
、
暴走モ|
ドに入る条件を満たしていた。
、
とびっ
きり良い手を引くこと。
これがエンジンに火を付ける
。
ォ
|
カ|
ドは、
クリスのフォ
|
カ|
ドを数字で上回
っ
ていた。
﹁
:
:
!
﹂
﹁
よぉ
っ
しゃ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
!
!
!
!
﹂
、
沸いた。
っ
と出の日本人が、
今までいいところ無しの雑魚が、
伝説の魔人から一億をもぎ取
っ
たのだ。
、
クリスの無敗伝説に唯一地を付けた男として一役有名になるだろう
。
っ
ていた。
|
ブルに座る二人を除いた、
この場にいる全てが。
﹁
二億ッ
!
!
!
﹂
っ
たかすぐに理解できたのは、
クリスを覗いて他にいなか
っ
た。
、
相方のケビンさえ驚愕する
。
。
恐怖でもなく。
動揺などではもちろんなく
。
﹁
大好きだよ、
君:
:
:
ッ
!
!
!
﹂
っ
た。
﹁
キングッ
ッ
ッ
!
!
!
!
!
﹂
、
何を言っ
たのかわからなかっ
た。
︵
キング!
?
っ
て何だよ!
?
!
?
!
?
︶
、
何一つ揃
っ
て無かっ
た。
︵
キングっ
て:
:
ブタかよ!
!
:
:
ブタ!
?
つ
、
ブタに1
0
0
万:
:
全財産賭けたのか!
?
︶
。
、
恋などでは当然なく。
﹁
ば:
:
馬鹿じゃ
ねぇ
のか、
お前:
:
!
?
﹂
、
動揺によっ
て、
広橋は熱気の中に寒気を覚えた
。
︵
く:
:
狂っ
てやがる:
:
!
!
、
負けることなんて一ミリも考えてね
ぇ
:
:
!
!
っ
て、
当然のように信じてるんだ
!
!
︶
﹁
さあ!
!
﹂
、
広橋は大きく身を捩らせる。
﹁
1
1
0
万の勝負だ!
!
?
﹂
︵
勝つか負けるかも全く読めない勝負に、
1
1
0
万:
:
だと:
:
!
?
︶
ャ
ンブルを続行しようとする狂人は
、
広橋の理の外に存在していた。
、
自分が負けるなどとは考えてなかっ
た。
。
相手の癖を見抜き、
常に勝てる勝負をしてきたのだ
。
﹃
﹄
、
勝てるとは到底思えなか
っ
た。
︵
お、
俺だっ
て:
:
こんな向こう見ずの大馬鹿なんざ:
:
一回勝てばいいんだ、
それだけで全てが終わる:
:
︶
。
天は広橋を見捨ててはいない。
ハ
|
トのストレ|
トが右手に収まっ
た。
。
︵
ま、
待て:
:
まだ勝負に出るには早い、
様子を:
:
︶
。
、
できなかっ
たのだ。
、
と言うのはただの言い訳であることに、
広橋は気づかないフリをした
。
。
﹁
フゥ
ルハゥ
スッ
!
!
!
!
!
﹂
﹁
あがっ
:
:
﹂
、
鼻先が刃を掠めた。
っ
た。
っ
たが、
それ故に怖ろしかっ
た。
、
頭を鷲掴みにされる。
﹁
よっ
しゃ
ぁ
!
!
!
、
1
2
0
万だ!
!
!
!
!
﹂
、
トドメだっ
た。
﹁
もう:
:
勘弁してくれ:
:
俺の負けだ:
:
﹂
っ
てよかっ
た。
っ
て、
最高のラッ
キ|
デ|
に違いなかっ
た
。
、
フォ
|
カ|
ドの後にフルハウスが二連で続いたのだ
。
億の金を賭けた勝負で、
だ。
。
﹁
四ッ
!
!
!
﹂
﹁
億ッ
!
!
!
!
﹂
っ
た。
|
ガ|
ドで殴り合う以外に、
決着を付ける方法など無いだろう
。
、
興奮を通り越して二人の熱と狂気に怖じけている
。
、
勝負を続ける?
、
全額を賭ける?
、
笑っ
ている?
っ
た。
﹁
ストレ|
トォ
ォ
:
:
フラァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ッ
シュ
ッ
ッ
ッ
!
!
!
!
!
!
!
!
﹂
、
心の右腕。
|
ドを呼び寄せたのか、
そう思わせるほどの一撃だ
っ
た。
。
﹁
ロイヤルッ
!
|
トッ
!
!
ゥ
ラァ
ァ
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
ッ
シュ
!
!
!
!
!
!
!
!
!
!
!
!
!
!
!
﹂
、
その上を通り抜けていっ
た。
、
勝者が天を仰ぐ。
﹁
負けたぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
!
!
!
!
!
﹂
﹁
勝っ
:
:
:
た|
|
|
|
|
|
|
|
!
!
!
!
!
っ
た、
勝
っ
たよ!
!
!
﹂
、
勝敗が決した。
﹁
冷静な、
クリスが:
:
﹂
、
子供のように。
大声で手を叫んで
、
跳ねまわっ
て勝利を喜んでいる。
、
クリスの満面の笑顔だ
っ
た。
﹁
おぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ﹂
、
長年コツコツと金を貯めて買っ
たカウンタッ
クを失
っ
たオ|
ナ|
が口から泡と吐瀉物を混ぜ合わせたような何かを吐き出して死んだ
。
﹁
オ|
ナ|
!
ゃ
駄目だ!
|
ナ|
ッ
!
!
!
﹂
っ
た心がゆっ
さゆっ
さと揺らすが、
どう見ても手遅れである
。
、
てくてくとクリスが近づいてきた。
﹁
いや|
、
いい勝負だっ
た。
久しぶりの楽しいギャ
ンブルだ
っ
たよ。
またやろうね﹂
﹁
ああ:
:
だがオ|
ナ|
が死んでしまっ
た:
:
﹂
、
とケビンは思っ
たが言わないでおいた
。
﹁
あ、
大丈夫。
わざわざ徴収するのも面倒だし、
車はいらないよ
。
楽しませてくれたお礼、
かな﹂
﹁
本当か!
!
!
﹂
、
オ|
ナ|
が蘇る。
﹁
めでたしめでたし、
だな。
ほぐっ
﹂
っ
けらかんと言う心の鼻にオ|
ナ|
の右拳が深々
と突き刺さ
っ
た。
﹁
まだまだやろうぜ!
!
!
!
!
﹂
と継続を熱望する心と、
降りたい広橋。
|
ナ|
が出した折衷案は、
広橋から村田への無担保融資だ
っ
た。
﹁
あ:
:
ありがとうございます:
:
これで手術どころか
、
闇金融の借金まで返せます:
:
!
!
﹂
っ
そりとした広橋を見送りシルヴの営業はお開きとな
、
﹃
ェ
スタ﹄
っ
た。
﹁
いや|
、
上手く行っ
たな﹂
|
ナ|
に、
若手のスタッ
フが尋ねる。
﹁
でも、
よく彼が降りるっ
てわかりましたね?
﹂
、
心は運が特別強くない。
、
高い確率で心の方が負けていただろう
。
﹁
敵の顔ばっ
かりジロジロ見ているような奴だっ
たからな
。
心はそういう相手に限り、
ものすごく強い﹂
っ
たけどな、
と続ける。
﹁
オ|
ナ|
今日俺オフっ
すよ。
飯おごっ
て下さい飯﹂
﹁
黙れ心。
お前はもう一生タダ働きでも文句言えない身だ
﹂
﹁
ちぇ
|
﹂
|
たれながらも、
外に出て夜の空気を吸い込んだ
。
、
心の熱は冷めなかっ
た。
﹁
空っ
ぽになるまで、
勝負してぇ
なぁ
﹂
っ
たままの闘争心を鎮められるのは、
勝負以外に、
無い
。
﹁
そ|
の|
か|
わ|
り|
:
:
﹂
、
魔人は嗤う
。
﹁
は、
鼻がッ
:
:
何、
どっ
たの?
﹂
﹁
僕ね、
今の勝負すっ
ごい楽しかっ
たんだ﹂
﹁
はぁ
﹂
﹁
それでね、
とっ
ても興奮しちゃ
っ
て、
まだ収まらないんだ
﹂
﹁
えっ
と:
:
?
﹂
﹁
負けた分は、
身体で払っ
て貰うから♪
﹂
﹁
えっ
﹂