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正義の味方ギガトラストDoubt

 
そこ
はかつて
執行人
と呼ばれていた
 
世界の中心から噴き出る瘴気が大気中に浮かぶ
に感染し
腐魂
が世に溢れることによる世界の崩壊
即ち
テンペスト
を防ぐために尽力する機関
 
執行人
が存在しなければ
世界は既に増え続ける
腐魂によ
て崩壊していたであろう
 
そして世界が今の形を保つには
これからもその存在
は必要不可欠である
 
そんな
正義の組織
の内部から離脱し
反旗を翻す
者達がいた
 
彼らは
執行人
の活動
功績を認めず
レジスタン
スとして武力行使を繰り返した
 
|トラスト
信頼
を名乗り
執行人
を認めな
い者達は
かつて自分達が信じていた正義に対し叫んだ
 
お前達は
|ダウト
疑念
 
 
 
 
正義の味方ギガトラスト
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
魔拳を継ぐ
 
桜庭弥生は考える
 
自分の命は
あとどれだけ保つのかと
 
 
形ある漆黒
腐魂意思体に足刀を差し込み
回転して
両断する
 
両断された腐魂は人型を保てなくなり
霧消して浄化
された
 
 
それを駆逐する度に
弥生の心臓には言い知れない不
快感がのしかかり
蓄積されていく
 
腐魂を駆逐すると言うことは
腐魂を身体に取り入れ
ると言うことである
 
世界の汚染を
自らの魂の汚染によ
て食い止める
 
供物魂
を心臓に持つ
サクリフ
イス
にしかで
きないそれは
使命であると同時に自傷行為でもある
 
 
穏やかな自殺
とさえ呼べる
 
びち
びち
りと赤からかけ離れた色の血を吐き
出しながらも
弥生は口元を拭
て目の前の討伐対象を
見据えた
 
あと
三体
 
肘を突き立て
踵を振るい
掌で抉り取り
 
彼女は腐魂を喰らい
その身に取り込んだ
 
しんど
 
本部に戻ると
隊員達からはお疲れ様です
と労いの
言葉をかけられる
 
それに答える気力もない弥生は
ふらふらと幽鬼のよ
うに自室へ歩いてい
 
ここでの彼女は
かなり立場が高く待遇も良い
 
当然だ
文字通り身を削るような任務を任されている
ため
使命の放棄以外なら大概は許される
 
上層部にサクリフ
イスになることを
薦められて
快く引き受けた
ため
金銭面において困ることなど
皆無だ
 
そのため彼女は
残り少ない余命をできるだけ絢爛に
生きることに決めた
 
高い物を食べて
高い服を着て
高いベ
ドで寝る
 
疲れた
 
岩盤浴付きの風呂から上が
た弥生はとても数時間前
まで異形を討
ていたとは思えないだらけた顔で
仰向
けにベ
ドに倒れこむ
 
桜色の瞳は
ゆるやかに回転する天井扇をぼんやり眺
めていた
 
十年前からは考えられない出世
と言うよりは
生の逆転だ
 
孤児だ
た頃は
目は茶色だ
自慢の髪も艶のあ
る栗色ではなくぼさぼさの黒髪だ
たし
纏う|私服
ドレス
は犬の小便がかか
たぼろ切れだ
 
ごみ箱を漁り
虫を蛋白源とし
雨風を凌ぐのにも苦
労していた
 
あの頃は
生きるので精一杯だ
いつか自分も
光の当たる場所を歩く奴等のように何不自由なく暮らす
んだと誓
人間らしく
笑顔で
 
そのためには
金が必要だ
 
プライドの高い彼女にと
身体を売るよりは戦う
方が適性があ
強くなれば成り上がれるこの場所は
彼女に向いていた
天職だとすら思
 
一つだけ誤算があるとすれば
この場所が彼女に
きすぎていた
ことだ
 
自分では気づかなか
たが
彼女は戦闘において天才
と呼ばれるカテゴリに食い込む辣腕であ
 
そしてサクリフ
イスは
強者にしか務まらない
 
結果として彼女は莫大な額の金銭を得た
望むなら
まだまだ要求することも可能だ
上層部はいくらでも金
を積み上げるだろう
 
これからも
快く人生を棒に振
てくれるなら
 
今の生活と昔の生活
ちがマシだろうな
 
泥に塗れて生きるのに必死ながらも
明日に夢を見て
いた過去
 
贅の限りを尽くし何不自由なく過ごしながらも
一歩
ずつ迫る死に怯える今
 
どちらも
とうな人生とは言い難い
 
寝よう
かく贅沢できるんだ
今を楽しめ
るだけ楽しもう
 
考えるのを放棄した弥生は瞼を閉じ
心地よい涼風に
身を委ねた
 
オメガダウト
が出たんだ
 
聞いていたのか
ああ
どうやらまた活動を始
めたらしい
 
上層部
いつもは呼び出される側の弥生が
今日は
司令室に自ら赴いていた
 
なると
あたしの出番だよね
 
本当は君を前線に出したくはないのだがな
 
苦渋に満ちた声を捻り出す上司
対して弥生はに
ている
 
サクリフ
イスはその役割のため
腐魂相手以外の戦
闘に駆り出される事は滅多にない
 
まかり間違
て死なれでもしたら大きな損害だ
大事
に大事に
絵の具のチ
ブのように絞
て絞り切
パレ
トに先端を押し付けても出なくな
てから死なれ
るのが最良だ
 
だが
弥生はサクリフ
イス化の際に金銭とは別に
もう一つ条件を提示した
 
あたしを
トラスト
相手に戦わせてくれること
それができないならやんない
 
条件を呑まずに無理矢理サクリフ
イスにするような
とと自殺するか適当にお前ら何人か殺
て首を
手土産にトラストに参加しち
うぞ
 
そう
お願い
したのだ
 
彼女にと
腐魂はあくまでも身を切
て駆除する
対象であり
心を焦がして戦う相手とは言えない
 
仕方ない
ただし
単身で行動するのは許さん
手が相手だからな
 
ちから言い出さなければだんまりを決め込ん
でたくせに
監視まで付けるのかよ
 
弥生は内心毒づくも
彼の言い分に一理あるのも確か
 
|オメガ
最後の
ダウト
 
かつて反ダウト組織
トラスト
を立ち上げ長として
君臨し
自らも凄腕の拳士として襲撃の先頭に立つ覆面
の人物である
 
最近は活動を控えていたのか目撃情報が無か
たが
ここに来て急にその姿を見せた
 
彼は
レギオン
集団を纏める戦鬼
仲間の数は不
いくら君が強くても
一人で戦うのはあまりに無
防備だ
 
レギオン
奴も
 
いや
彼がレギオン能力を使
たのを見たと言う情
報はない
確実とは言えんが
は違うのではないか
と推測している
 
レギオン
魔物のような腐魂意思体とはまた別の
生きる腐魂
である
 
人間が人為的に腐魂を吸収し
それによる強さを得た
存在
 
身体能力的には普通の人間だ
た頃と差が出ないサク
リフ
イスに対し
レギオンは飛躍的に力を増す
 
筋力
瞬発力
動体視力
反射神経
それらの向上
にプラスして超能力じみた力さえ行使することができる
まさに超人である
 
だが
その代償は人間が背負うにはあまりにも重い
 
第一に
レギオンにな
たその時点で寿命の半分近く
が一気に消し飛ぶ
 
その上
レギオン特有の能力を使えば使うほど
残さ
れた半分の寿命は凄まじい速度で削れる
 
サクリフ
イス同様
いや
下手をすればサクリフ
イス以上に
命の消耗が激しい
 
腐魂との融合は
それだけ人の魂を侵食するのだ
 
ゆえに
それが溢れないようにサクリフ
イスが必要
になる
 
それがダウトの言い分だ
 
一方で
レギオンは本来ダウトにと
て無価値
いや
腐魂を撒き散らす悪ですらある
 
 
ある理由
により
ダウト内にもレギオンが存在す
 
茶村と
候補を三人付ける
今回は威力
偵察だ
撃破が難しいと見たらすぐ撤退するように
 
はいはい
と手を振
て弥生は司令室を後にした
 
弥生は手を握り締め
たん広げてからまた握る
そして
 
 
 
 
不可解な軌道を描いた拳撃が空を叩き
大気が爆ぜる
音が廊下に響いた
 
久しぶりに
あたしの魔拳が振るえそうだ
 
 
かし
んでこんな堅物と一緒なんだか
 
上からの命令だ
文句を言うな
 
深夜の山道
それも獣道を歩くダウトの一行
 
先行するはあといくつか戦果を積めば
を獲得で
きる隊員達
それに角刈りの
目つきが鋭い男
の茶村
 
巌夫
さむら
 
いわお
と弥生が続く
 
とはダウト内における
称号のようなものであ
 
ダウト隊員としての功績
そしてなにより戦闘能力を
加味して与えられる
色名が入
た苗字だ
 
桜庭は
茶村は
 
同じ色の苗字が同時に二人以上存在することはなく
必然的に
色持ち
の定員は限られる
 
つまり
桜庭弥生と茶村巌夫は全国で数千数万も存在
するダウト隊員の中で超が三つつく程のエリ
トであり
色を射程圏とする隊員もまた超がつくエリ
トなのだ
 
彼女らの持つ色が入
た名と
同時に与えられる色の
ついた瞳は
全ダウト隊員にと
て憧れの的である
 
茶村隊長
本当にオメガダウトはこの先にいる
のでし
うか
 
前を進む隊員の一人が不安げに尋ねてくる
 
なんだ
びび
てんのかよ
と横から小声で冷やか
す隊員も
笑みがぎこちない
 
当然だ
 
トラストの長
オメガダウト
 
正体不明のその人物についてわか
ていることは少な
ただ
一つだけ確実なことがある
 
オメガダウトは単純に
とてつもなく強い
 
色持ちの精鋭すら殺害せしめるその拳は
当時のダウ
ト隊員にと
て恐怖そのものだ
 
どうだろうな
突然消えた奴が今頃にな
て現
れるのも不可解だ
見間違いかもしれない
だが
と仮定はしておけ
油断は禁物だ
 
はい
 
巌夫の落ち着き払
た返答を聞き
多少隊員達の恐怖
が和らいだ
 
いじ
ぶだ
オメガダウトが出てきてもあ
たしがばば
んとぶ
倒してやるから心配すんな
んとお前達の活躍も上には盛
て報告してやるからさ
 
ありがとうございます
 
感謝します
桜庭隊員
 
楽天的な弥生に
隊員達はえへらと笑みを返す
 
その強さに加えて上層部に対して物怖じしない性格
そして凄腕の戦士とは思えない細身の身体に
幼さが抜
けき
ていない朗らかな笑顔
 
弥生は
ダウト内でも人気の高い隊員である
特に
男性は彼女に恋心を抱いている者も少なくない
 
桜庭
貢献したかどうかは俺が客観的に述べる
力に見合わない昇進をして力不足のまま色持ちにでもな
てしまえば
逆に危険だ
 
と正論を述べる巌夫に弥生が大きく舌打ちする
 
融通の利かない石頭だな
こいつは
髪型はダサいし
ゴツくてキモいし
眉毛が長方形だし
色持ちにした
て別の隊員付けてくれり
あいいのに
 
わざわざ聞こえるように罵倒する弥生
巌夫は
最後
の愚痴にだけ返事をした
 
性格が合わなかろうが身体の相性がいいんだ
仕方
ないだろう
 
 
ほわ
 
ばちこ
 
ぐほ
 
久しぶりに振るわれた弥生の魔拳が最初に打ち抜いた
のは巌夫の頬だ
 
何をする
 
ちのセリフだよ
 
なに唐突に意味わか
んないこと言い出すんだ
 
目を白丸にして弥生が吠える
 
意味わかんない
 
きとした事実だろう
 
言葉を選べ
 
絶対誤解される言い回しじ
 
隊員達を見れば案の定
固ま
て何やらひそひそ話し
ている
 
ぱり
桜庭さん
て茶村さんと毎日ず
こんば
こんしてるんだ
 
ああ
昔からの付き合い
て言
てたからな
嘩ばかりしてるように見えてベ
ドの中では
とか
とか言わされてるんだろ
 
一緒にお風呂入
てあげる
ポンジがない
 
あたしの胸が
スポンジ代わり
とかや
てるんだろうな
 
ほら変な噂されてる
 
それよかゲスすぎるだろお
前らの会話
 
こんば
こんとか言うな
 
て言うかどんなプレイだ
 
桜庭さんの口からず
こんば
こんとか飛び出た
 
あとツ
コミ長
 
お前達
無駄話もそれくらいにしておけ
 
顔を真
赤にしてる桜庭と隊員達を
巌夫が嗜める
 
元はと言えばお前が変なこというからだ
 
文句なら任務の終わ
た後で聞いてやる
 
頭を拳でぐりぐりと抉られ汗を垂らすも
巌夫は奥に
見える廃屋を指し示す
 
あそこが
オメガダウトの目撃地点だ
 
 
立て小屋
と言う表現がよく似合うようなおんぼ
ろの木造建築が木
の開けたなかにぽつんと存在してい
 
ほんとに
隠れ家
て感じの家だな
どうす
 
家ごとぶ
壊す
 
壊すな
窓から中を覗いてオメガダウトの存在
を確認し
一人でいたら襲撃をかける
仲間がいるよう
なら撤退
誰もいなか
たら室内の調査に移る
わか
たな
 
各自頷き
闇中に足音を消して小屋へと忍び寄る
 
一応張
てあるガラス窓をから室内を覗き込む
灯り
はなく
何か動いている様子もない
 
それなり以上に夜目が効くダウト隊員が見える範囲で
中を探すが
見える限りでは誰もいない様子だ
 
お前達は外の見張りをしてくれ
俺と桜庭で中を調
べる
 
正面に回りこみ
扉をゆ
くりと開く巌夫
 
錆びた蝶番が金切り音を出さないように
注意して力
を入れる
 
 
目配せを交わす
 
小柄な弥生からそろそろと侵入し
もう少し開いてか
ら巌夫も潜り込む
 
畳ほどの小屋内には
中心に大きな机
椅子が数
それに煤けた箪笥と
クロ
トのようなスペ
スがあるだけだ
 
埃が乗
てない
最近使われたであろう机には何も置
いてない
椅子も然り
 
弥生は衣装棚と思しき方へ向か
てい
必然的に
巌夫は箪笥の引き出しを調べることになる
 
 
どうやら
当たりみたいだな
 
一番上の引き出しからは
各地のダウト基地と周辺の
地図が見つか
 
入り口に印が書き込まれており
襲撃時に手薄な場所
はマ
キングが入
ている
 
そこに書かれた文字に
巌夫の顔が強張
 
殺戮兵器
だと
 
四巨頭の一人
こい
つもまだ生きていたか
 
 
おい
茶村
これ
 
小声ながらも驚愕が伺える弥生の声に歩み寄ると
女は何かコスチ
ムのようなものを手に掴んでいた
 
オメガダウトの
 
そのようだな
 
何度もダウトで画像を見せられた
怨敵の覆面
そし
てタイツであ
 
しまわれていたため温もりなどないが
掴む弥生の手
からは汗が止まらなか
幾人もの同胞の血を吸
であろう
その黒は
 
夜の闇よりも深く
ているように見えた
 
でもさ
これ
なんか
小さくない
 
 
疑問を漏らす弥生
言われてみれば
確かにそうだ
 
弥生がコスチ
ムを広げて自分に当ててみると一目
瞭然である
 
少女で通用する弥生の体躯よりも
更に一つ小さいサ
イズ
 
オメガダウトの正体は
子供
 
いや
 
なのか
 
おい
なんだお前は
止ま
 
ざぐん
 
 
外から不穏な声と
それに輪をかけて不穏な重
しい
刃物が落ちる音が響いた
 
おい
どうした
 
扉から飛び出した二人が見た光景
それは
 
茶村たいち
たすけ
 
既に頭から唐竹割りに斬り殺された隊員の死体と
 
た今胴を横薙ぎに両断された
隊員の死体であ
 
 
三人いた部下達は
わずか数秒の間に
一人と四体
とな
ていた
 
化物
 
位置の関係で幸運にも生き残
た隊員は
襲撃者の姿
と仲間の無残な死を目撃し
戦意を挫かれてがたがたと
震えている
 
 
逃げろ
 
こいつは俺と桜庭で倒す
本部に戻りながら応援を要請するんだ
 
走れ
 
はい
 
巌夫の声でやるべきことをなんとか理解した隊員は
元来た道を走り出す
 
 
応援なんて来ないわよ
貴方達が生きてる間に
はね
 
行く手を遮るように佇む少女に
剣によ
後ろか
ら心臓を刺し貫かれた
 
 
どち
と斃れる隊員
 
 
なん
だあり
 
何をした
 
目の前の出来事に驚愕する二人
 
それに対して悠
隊員達を殺した二人組が合流し
 
巨漢と少女の
釣り合わないコンビ
 
良い子ね
殺戮兵器
 
 
両手を地につき四足で立つ
筋骨隆
な仮面の大男
 
その頭を撫でる
前髪が目にかかるほど長い
学生服
を纏
た少女
 
お前ら
よくもうちの隊員を
 
中にあ
た悪趣味なタイツは
お前のものか
 
殺意と敵意を向ける弥生
巌夫に対して
少女はうつ
むきながらくすくすと笑
ていた
 
勝手に人様の家を物色するなんて
ダウトの犬は躾
がな
てないわね
 
答えろ
 
巌夫が声を荒げる
 
少女が顔を上げる
 
その表情は
笑顔
 
憎しみの果てに
歪んだ妖しさを漏らしていた
 
申し遅れたわね
ちは
殺戮兵器
の朽葉
くちば
それで私は浅葱
 
莉緒
あさぎ
 
りお
 
貴方達ダウトの何もかもを終わらせる者
オメガダ
ウト
 
風が彼女の前髪を吹き上げる
 
瞳の中には復讐に燃えている
紺色の焔があ
 
ああ
貴方達は自己紹介しなくていいわよ
茶村巌
夫と桜庭弥生でし
顔と名前は知
てるわ
 
ダウトに情報を流したのもお前達か
 
たりまえじ
ない
最近大きな襲撃が無か
中でち
と覆面被
て暴れればダウトは大騒ぎ
こで餌を与えてやれば
ほら
こんな簡単に食いついて
くれたわ
色持ちが二人も釣れるなんてラ
だけど
 
莉緒は黒色のセ
服のリボンを細い指先でほどき
闇夜に放
 
そして前開きのボタンを
上から一つ一つ外して脱い
でいく
 
なんで敵前で脱ぎ出すんだよ
 
痴女か
 
痴女なもんですか
貴方達も
ただの女学生に
負けたらみ
ともないでし
 
まあ
それもそれで
アリだけど
私にはち
んとした
正装
があるの
 
彼女は制服の下に
小屋の中にあ
たものと同じタイ
ツを着込んでいた
 
そしてバ
グの中から
やはり同じマスクを取り出す
 
そういうわけで
貴方達はこれから
オメガダ
ウト
殺戮兵器
によ
て死ぬのよ
 
被るマスクの中には変声装置
機械音が
男女の声質
差を消し去
 
どう見ても女の身体だ
やはりお前は
オメガ
ダウトを騙る偽者だな
 
身体のラインにフ
トするタイツは
莉緒の
弥生
よりは
凹凸のある肢体を欺くことはできない
 
見ようによ
てはエロテ
クですらある
こんな
状況でもなければ
だが
 
お前どこ見て言
てるんだよ
 
胸か
なのか
胸なんだな
 
なぜお前が怒る
 
緊張感の無い二人に構わず莉緒が反論する
 
オメガダウトがいない今
私こそが本物
真のオメ
ガダウト
彼の意志
遺志かも知れないけど
れは私が継ぐわ
トラストを率い
ダウトを潰す
おし
べりはこのくらいにしておこうかしら
朽葉
 
彼女の横でず
と二人を威嚇していた朽葉が立ち上が
レギオン能力を発現する
 
程もある体躯よりも更に巨大な
片刃の大斧をそ
の手に精製した
 
ンナクス
 
地鳴りのような重低音で自らの能力名を発する朽葉
 
先程防護服を着込んだ人間をいとも簡単に真
二つに
した
彼が
殺戮兵器
と呼ばれる所以である
 
奴は俺が相手をする
偽オメガダウトは不気味
だが
お前が死にさえしなければ仕留め次第加勢する
 
だん
あたしがパパ
と倒して
二人
で化物退治の間違いだろ
 
力量に関しては信頼し合
ている二人が
それぞれの
相手と対峙する
 
あたしが大将首の大手柄いただき
てわけだ
て言
ても
情報を吐かせるから殺しはしないよ
感謝
しなオメガダウトち
 
そして覚悟しなオメガダウトち
あんたの手
あたしの魔拳でベキベキにへし折
てやる
 
あら
貴女も魔拳使いなの
 
そういえばそんな
こと書いてあ
たわね
いいでし
見せてあげる
オメガダウトの魔拳を
 
一応殺さないつもりだが
お前の強さによ
は殺害もやむを得ないかもしれない
うちの隊員をや
てくれたんだ
そのぐらいは承知の上だろうが
 
遺言でも何でも
言いたいことがあるなら先に言
おけ
 
 
俺か
 
俺は特にない
始めるぞ
 
拳と拳が
 
斧と槍が
 
宵闇に
火花を散らす
 
 
弥生の師匠は言
ていた
 
魔拳の極意は間隙突きだ
変幻自在の軌道で
敵の
死角を狙い撃つ
練達者の魔拳は
相手に回避防御の
一切を許さない
 
 
斜め上から放
た拳は
斜め下から敵を襲う
 
左足から放
た蹴りは
敵の左脇腹を食い破る
 
それも
全く変わらない速度で
 
それを可能とするのは
関節部の着脱である
 
可動域
と言う人体の基本を取り払
てしまうこと
常識ではありえない角度への攻撃を可能とする
 
ボルケイノ
 
最も基本的な魔拳の型
右腕を頭の左に構えて
袈裟
掛けに振り下ろす
当然
普通に振るえば拳が当たるの
は相手の右肩付近になる
はずである
 
そこを防御してしまえば
左が空く
 
大噴火
の名を冠するこの技は
知らぬ者が受けれ
ば一撃で地に伏せることとなる
 
 
軌道を見切り
左脇腹を防御する莉緒
だが
弥生の
狙いは正確には脇腹ではなか
 
あんたは魔拳を使う
と言
ならば左腕は早め
に潰しておいた方がいい
 
防御した左腕の
手首関節
そこが真の狙いである
 
無論
防御をしなくともダメ
ジは大きい
弥生にと
ては
先手を取る事こそ狙いだ
たのだ
 
左腕は破壊には至らなか
たが
しばらくは痺れたま
まだろう
 
次は右を潰す
 
休ませる間もなく
弥生の魔拳が獲物を穿たんと疾駆
する
 
違和感
 
こいつだ
オメガダウトを名乗ろうとする程度
の実力者
それが
この不利な状況で防御に徹するなん
 
とした弥生は咄嗟に身を屈める
 
ざり
 
 
左肩の上を
レイピアが通り抜けてい
 
軌道上に存在した
肩の上数
を抉り取りながら
 
へえ
運が良いわね
いや
悪いのかしら
 
一撃
で死ねたのに
 
劣勢を演じていた莉緒が微笑み
優勢に踊らされてい
た弥生が歯を食いしばる
 
レギオン
能力
 
あら
バレち
たかしら
 
恐らくあんたは
武器を作れるだけ
精製できる
場所
とばかり遠いだけの
ぼい能力
 
先程の隊員も
少女が前にいるのに後ろから刺されて
いた
 
あれを見ていなければ
心臓を貫かれることはないに
しても
胴体に大きなダメ
ジを負
ていたであろう
 
まあ
秘密にするほどの能力でもないから構わない
そう
魔拳
も使えるけど
 
右手で肩を押さえる弥生の空いたスペ
スを
右の魔
拳で狙い撃つ
 
魔拳の熟練度自体は
弥生に分がある
左腕で拳撃を
放ち
相殺する
 
魔剣
の方が得意なの
 
防御しようがない背中を
大きく切り裂かれる
 
ぐあああああ
 
弥生の鮮血が
地面に降り注いだ
 
 
デモニ
クスピア
 
 
巌夫が
どこからともなく長柄の槍を取り出し
構え
 
最低限の情報を知
ていた朽葉は驚くことなく
間合
いを詰める
 
彼もまたレギオン能力者
武器精製程度で
何を言う
事でもない
 
一息に飛び込み
上段から大斧を振り下ろした
 
左に避ける巌夫
一瞬前まで自分が立
ていた地面が
くりと抉れていた
 
まともに受けていれば
圧力に潰されていただろう
 
斧を振り上げるより早く
その巨体を貫かんと疾駆す
る巌夫
 
力は大したものだが
あまりにも隙が
 
身を屈める
 
凄まじい速度で横薙ぎに振るわれた二本目の斧が
夫の角刈りをもう一段短く刈り上げた
 
二本目
はまだ想像の範囲内だ
たが
 
片手で軽
と振るうか
それを
レギオン能力と
重量がないわけではなかろうに
 
実際に
朽葉の持つ
ンナクス
は破壊力を増す
ため
見た目相応か以上に重く作り上げてある
 
殺戮兵器
と呼ばれるわけだ
 
巌夫が再び敵の鳩尾を目掛けて突
走る
 
あと数十
で穂先は肉体に届く
と言うところで大
斧がそれを遮
 
 
巌が体勢を立て直さんがため
一旦距離を置く
 
防御と同時に
攻撃
見切れない速度ではないが
撃に付随する風圧だけでも人を破壊できる勢いだ
 
彼に小細工はない
 
単純に強く
速く
隙がないのだ
 
それを可能とするのは
 
 
三つ目の
しかし
それをどうする
 
 
彼の
尋常ならざる膂力
 
巌夫が危機を覚えて全力でその場から離脱する
 
背後にあ
た掘
立て小屋が
三本
の斧による急
降下斬撃によ
端微塵に爆裂し
派手に倒壊し
 
周囲に
地響きが轟くほどの一撃であ
 
指の間に大斧を挟み
片手で三本持ち
化物
 
人一人を殺すには過剰な暴力
 
殺戮兵器の仮面から覗く眼光は
未だ巌夫を射止めて
いる
 
 
あのお馬鹿
派手に壊してくれち
まあ
どうせ餌に使
た後放棄する予定の小屋だ
たけど
 
爆音にちらと向こう側の先頭を見て
莉緒が肩をすく
める
 
随分余裕だね
まさかもう
あたしに勝
つもり
 
つもりも何も
 
弥生の背後から刃が襲う
それを避ければ
莉緒本人
の魔拳の餌食だ
 
鳩尾に
意識が飛ばされそうなほどにきつい一撃を喰
らう
 
げふ
 
貴女は一対一のつもりだ
たんだろうけど
実質二
対一よ
私と
フランベルジ
に前後を挟まれて
うや
て勝つわけ
 
普通の拳打よりも
魔拳を見切るのに集中力が必要な
のは当然である
もし莉緒が魔拳使いでなくただのレギ
オンなら
打破できていたかもしれない
 
間隙突き
て言うのはこういうことを言うのよ
拳一本でどうにかなるなんて思うのは浅はか
魔拳と
はあくまでサブウ
ポン
戦術の基礎にはなりえないわ
 
それを効いた弥生が苦
しげに言う
 
否定したいが
あたしに
それを違うと言う
資格はない
 
敗者
だもんね
 
そうじ
ない
 
弥生がよろよろと立ち上が
拳と刃で痛めつ
けられて
体の節
から血が流れている
 
まだやる気
 
貴女に勝ち目があるとでも思
ているのかしら
 
あたしに
魔拳使いを名乗る資格はない
 
 
弥生の身体に
闘気が漲
ていく
 
いや
漲らせてい
弥生自らの
意志で
 
そして
口を開いた
 
 
両手の二本と
離れれば投げられる一本
三本の大斧
による縦横無尽の絶え間ない猛攻は
まるで旋風が巻き
起こ
ているかのような激しいものであ
 
投げても手元に戻
てくる武器か
まるで北欧神
話のミ
ルニルだな
 
向こうも
苦戦しているようだ
ここで時間
をと
てるわけにはいかん
 
振るわれる斧の軌跡を見切り
巌夫は振り終わりのタ
イミングを狙
てそれに飛び乗
 
 
完全に懐に入り込んだ
 
斧のリ
チは長い
中に入るのは一苦労だ
だが
てしまえば成す術はない
 
デモニ
クスピア
 
には
 
ぐは
 
強烈な一撃を腹に喰ら
たのは
巌夫の方だ
 
理由は
体格の差
 
反射的に迎撃した朽葉の蹴撃が
あと数
のところ
で勝
ていた
 
武器を使わずとも
この威力か
 
肋骨が数本折れたのを実感する
ダウトの色持ちなら
まだまだ倒れるわけにはいかないダメ
ジだ
 
かとい
満足に動けると言うわけにもいかない
 
認める
お前は強い
立場云
を別にして
敬すべき戦士だ
 
 
命乞いと言うわけではないだろう
褒められた朽葉が
軽く会釈を返す
 
だから俺も
出し惜しみは無しでいく
もう少
し付き合
てくれ
殺戮兵器
 
巌夫の外傷が
見る見る内に塞がれていく
 
呼吸しただけで激痛が走るはずの胸のつ
かえも
秒にして消え去
 
そして
口を開いた
 
ラア
 
解放
 
二人の闘気が
爆発的に膨れ上がる
 
 
ラア
 
かつて執行人最強と呼ばれた隊員が編み出した
闘気
操作術
 
闘気を溢れ出す事により攻撃力
耐久力
敏捷性の向
上に加え
その効力は怪我の治癒まで及ぶ
 
ラア
使い
習得の困難さと魔拳に及ば
ない底として
現在は使用者が皆無に等しい
て聞いて
たけど
 
あたしの師匠は魔拳一本で戦
てた
とても
強か
あたしも師匠のようになりたか
たけど
あた
しは戦闘に才はあ
ても
魔拳の才能は無か
たんだ
あたしは
 
させないわ
 
フランベ
 
魔拳に生きることが
できなか
 
莉緒の魔拳よりも
魔剣よりも
 
弥生の一閃が始動する方が
刹那だけ速か
 
 
パワ
 
間隙突きも挟み撃ちも
相手より速ければ全て事足り
 
莉緒の軽い身体が
地に沈んだ
 
実のところ
俺は結構力自慢なんだ
ダウト内
でも
下らない力比べは起こる
そして俺も
表面上は
呆れているが内心では自信がある
少なくとも
破壊力
においては一番ではないかと思
ている
 
 
巌夫はあまり自分の事をペラペラと喋る方ではない
 
規律を大事にし
私事を後回しにして下の面倒を見る
タイプのため
上司の受けは良いし部下からの評判も悪
くない
 
仲のいい同僚はほとんどいなか
弥生を除
けば別だが
二人は否定するであろう
 
なんとなくそれを察した朽葉は
て彼の言葉を聞
いていた
 
だが
それを証明する術はない
俺は不器用だ
闘訓練でオ
ラア
ツなど使えば怪我人は免れないだろ
下手したら死人が出る
だから滅多に使えない
だが
研鑽は怠
ていない
 
そこで一旦切
くりと
再び槍を構えて
撃の姿勢を取
 
叩き潰してやる
殺戮兵器
逃げるなら今の
内だぞ
 
 
朽葉は
何も喋らずに
ただ一本だけ残して斧を消し
それを両手持ちに構える
 
 
似たもの同士のようだ
 
巌夫が
すぐに駆けた
気持ちいいほどの
直進
 
デモニ
クスピア
 
ンナクス
 
闘気を纏
た槍と
ただひたすらに強い斧がぶつかり
合い
交通事故でも起こ
たかのような破壊音が一帯を
支配する
 
二人の剣戟は止まらなか
 
おおおおおおおおおおおおお
 
 
力は互角
だが
 
 
絶えず続く金属音の中に
みしみしと何かが軋む音が
聞こえる
 
大怪我をオ
ラで保護している巌夫の体躯と
いかん
ともしがたい質量差に悲鳴を上げるデモニ
クスピアの
穂先であ
 
押し返され後退しゆく槍撃
なんとか踏ん張
堪えようとする
 
ばき
 
槍の穂先が
酷使に耐え切れず破砕する
 
クランス
 
治癒に用いていたオ
ラを全て槍に注ぎ
闘気によ
て紫の刃を精製する
 
それは奇しくも
秘密だと言
て見せてはくれなか
彼の師匠の切り札に似ていた
 
暗く輝く槍は巨大な斧にヒビを入れ
粉砕し
尚も勢
いは止まらず持ち主である朽葉を貫き
圧力で吹き飛ば
した
 
 
 
俺の
勝利だ
 
ほとんど相打ちに近い形
しかし最後に立
ていた
のは巌夫であ
 
 
ぴどくやられたじ
茶村
 
レギオン能力を解除し息も絶え絶えに膝をつく巌夫に
弥生が近寄
てきた
 
ちの相手のほうが強か
ただけだ
お前だ
血塗れだぞ
 
お前が弱いから苦戦したんだろ
行数無駄に取りや
 
行数
 
まだよ
まだ負けてないわ
 
 
オメガダウトの覆面が半分剥がれた莉緒が
どうにか
立ち上がりながらも強い語調で言う
 
朽葉も
立ち上がれこそしないものの意識はあるよう
 
弥生は余裕を保
たまま
莉緒の元へと近づいた
 
そんなフラフラの身体でまだやる
 
あ眠
らせて拉致と行きますか
 
 
殺気を感じ
咄嗟に首を左に倒す
 
髪を一房
銃弾に持
ていかれた
 
少しだけ
時間を稼げればいい
ほんの少しでも
貴方達を消耗させればいい
 
口端から一筋の血を流しながらも
莉緒の闘志
そし
て怨念は収まることが無く
 
見れば
四方八方から銃口が二人に狙いを定めていた
 
トラスト
 
卑怯だぞお前ら
 
金で雇
ただけの
単なるゴロツキよ
それに卑
怯も何も
貴方達だ
て応援を呼ぼうとしていたじ
 
そうだ
 
桜庭
バカなのがバレるからもう喋るな
 
バカとはなんだバカとは
 
もうバレてるわ
 
バレてないよ
 
バカじ
ないよ
 
ダウトの色持ちにと
銃弾程度は大した障害には
ならない
 
深手を負
てない上に
十数人に別方向から狙われて
さえいなければ
 
あはは
どうしよ
アレ
使
 
それもやむなしか
だが
俺達もあまり動け
る状況ではない
殺されないようなら一旦捕ま
て回
復してから
アレ
で逃げ出した方が懸命か
 
小声で会話する二人
 
いや
偽オメガダウトと殺戮兵器が回復する
と厄介だな
仕方ない
アレ
で逃げるぞ
 
わか
でも久しぶりすぎてち
感覚が
 
そんなこと言
てる場合か
 
怒鳴るなよ
 
 
何をコソコソと
 
莉緒がゴロツキに合図をすると
彼らは一斉に二人へ
と引き金を絞り
 
しま
 
やば
 
銃弾が
弾かれる
 
 
その場の誰かが
間抜けな声を漏らした
 
その場の誰もが
同じ事を思
ていた
 
雨のように降り注ぐ弾丸が
何か
広いもの
に阻ま
れてあらぬ方向へ飛んでい
 
大きいもの
ではなく
広いもの
である
一瞬見
えたそれは
幾何学模様のような
何かの
集合体
 
うん
ごめん
なさい
 
けに取られるゴロツキ達の間から
弥生よりいく
つか年上の女性が戦場に入り込んできた
 
皆が注目する中を
てとてとと緊張感なく小走りで駆
けてきた
 
ジを纏
気弱そうな女性
フなのか顔
立ちは整
ているが
衣服のせいもあ
てどこか垢抜け
ない印象を受ける
 
大勢で
人数が少ない人たちを
攻撃す
るの
あまり
よくないと
思い
ます
 
開口一番も
ともな事を言う
ともこの場にそぐ
わない人物
 
貴女
 
一般人は帰りなさい
死ぬわよ
 
その
あの
一般人じ
ありません
 
正義の味方
お手伝いをしています
 
頓珍漢な事を言う女性に
莉緒は特に気にかける必要
もないと判断した
 
ああ
そう
一応忠告はしたから
流れ弾に当
ても自己責任ね
 
まずい
おい姉さん
早く逃げろ
 
大丈夫
です
 
何が大丈夫なんだよ
 
いいから伏せてろ
もう
 
莉緒が片手を挙げると呆けていたゴロツキ達は役目を
思い出し
喚く弥生に向か
再び銃弾の嵐を浴びせ
 
今度は単発ではなく掃射だ
二人は
アレ
と称する
方法で避けようとする
 
 
あの
 
ミリアド
ポン
 
ガガガガガガガガガガガガガガギギギギギギギ
 
壮絶な金属音が
ム内の人間
を守
 
それは
であ
レギオン能力で精製した
い以外にさしたる特異もないただの盾
 
人一人の正面を守ることしかできないち
ぽけなそれ
タイルのように整然と並び
空間を覆う
バリア
となる
 
中心にいるのは
どこからどう見ても一般人にしか見
えない
ジ姿の女性だ
 
銃声が鳴り止むと
彼女は
を解除してゴロツキ
達の足元に
を突き立てる
 
これまた鋭い以外にさしたる特異もないただの剣を
実に三十本余り一度に精製したのだ
 
 
あの
みなさん
話し
解決
 
化物
 
 
武器を出す能力だかなんだかがある
程度の知識し
か無か
たゴロツキ達は
蜘蛛の子を散らすように逃げ
てい
 
ばけ
もの
ひどい
 
穏便に纏めようとした女性はシ
クを受けているよ
うだが
それはダウトとトラスト達から見ても化物じみ
た能力だ
 
何なの
貴女
 
見たこともない桁違いのレギオン能力に
莉緒の顔か
ら余裕は完全に崩れ去る
 
だから
正義の
味方の
お名前で
すか
 
ラゼ
黄海
言い
ます
 
殺戮兵器
 
莉緒の咆哮と共に
謎の危険人物を排除すべく朽葉が
大斧を手にした
 
レギオンならではの回復能力
十全とはいかないまで
人一人叩き潰すことなど造作もない振り下ろしが
 
はい
呼びました
 
片手間のミリアド
ポンによ
て封殺される
 
てくてくと
自分の異名
を叫んだ莉緒へと歩み寄
てから
そう言えば
と振り向いて
ンナク
の一撃を受け止めていた
ミリアド
ポン
解除した
 
既に誰もいない場所へと大斧が落ち
せぐん
と土が
耕された
 
 
先輩
 
 
莉緒が愕然としていると
先程彼女が来た方角から新
たに男が現れた
 
もう
先行
駄目じ
ないですか
地図持
ていくから
てしま
 
ワカメのようなボサボサ頭をした
ワイシ
ツ姿の青
年だ
 
塩彦
くん
ごめん
なさい
 
いや
無事ならいいんですけど
能力
惜しげも
なく使
たりしてませんよね
 
だけ
一瞬
だけ
しか
使
てない
 
ならいいんですけど
自分が危ない時以外使
だめですよ
 
 
あれは
青井
塩彦
 
 
塩彦と呼ばれた男を見て
弥生が固まる
 
君は
確か
ダウトにいた
いや
あの頃は執
行人だ
たか
弥生くん
だよね
 
覚えていてくれたんですか師匠
 
お久しぶり
です
 
どこ行
てたんですか
 
色持ちにな
んですよ
それから
それから
 
ああ
後で聞かせてもらうよ
それより
 
と喚く弥生をどうどうと抑え
塩彦は破
れた覆面を纏
たままの莉緒に向き直る
 
ダウト
 
貴方達も
ダウト隊員なの
 
君が
オメガダウトを騙
てる人物か
女の子だ
たとは
 
ダウトは全員私の敵よ
せめて貴方だけでも
 
朽葉と同じく自己治癒で回復した莉緒が
いきり立
て塩彦へと駆ける
 
一人でも多く
道連れにしてやる
 
 
塩彦は何も言わず
構えもせず
ただ彼女の方を向く
だけだ
 
師匠
危ない
そいつは
 
魔剣
のからくりを伝えようとしたが
遅か
 
背後からはレギオン能力
前方からは魔拳
 
色持ちの隊員でも前情報無しの初見なら致命傷を負い
かねない絶技は
 
塩彦の
両手に収まる
 
危ないな
 
危機を察知した塩彦は右手で背後に出現したレイピア
の刀身を掴み
 
彼女の振るう魔拳を
後手から鏡写しに真似て
左手
の掌でぱしんと受けていた
 
絶対の自信があ
た技を一回で見切られた事に目を見
開く莉緒
 
そんな
私の
魔剣が
 
オメガダウトを名乗るには
君の
魔拳
は修
練不足だ
 
それをレギオン能力が補うのか
レギオン能力をそれ
が補うのか
アイデアは悪くない
 
だが
これを
魔剣
と呼ぶのなら
あまりに稚拙
 
塩彦は敵のレギオン能力であるレイピアを持ち
んと振る
 
脛狙いの剣閃が覆面だけを両断するのを
捉えること
ができなか
 
たとえ自分に突き刺しても害はないはずの
フランベ
ルジ
死を感じてしま
 
 
これも真似事だけどね
はい
返すよ
 
と言
て差し出すも
へたり込んでしま
たので塩彦
はそれを地面に置いた
 
 
青井
塩彦
ダウトから失踪したと聞いたが
とにかく窮地を救
てもら
たのは確かだ
礼を言う
いや
言わせて頂きます
 
君は琥珀のところの弟子
 
構わないよ
別に
それより
君達もオメガダウトの情
報を追
てここに
 
はいはいはい
 
そうです師匠
 
いや
見せたか
たな私の活躍
 
前よりず
とず
と強くな
たんです
よ私
 
うん
すごいね
すごいすごい
ところで
女たちの処遇なんだけど
 
女性を適当にあしらう事にかけては他の追随を許さな
い塩彦が弥生の話を華麗に流す
 
 
 
当然
ダウトに連れ帰
て情報を吐かせます
重罪
人ですからね
 
その後は
処刑かい
 
申し訳ありませんが
そこまでは部外者にはお
答えできません
上が判断する
とだけ言
ておきます
 
暗に肯定する巌夫に
塩彦がそうだろうなとため息を
吐いた
そして尋ねる
 
見逃す
と言うわけには
 
師匠
 
理由がありません
現に我
は三人隊員を殺されて
います
例え処刑されたとしても
当然の報いと言える
でし
 
 
何も知らないダウトの犬が
よくもそん
な事を
始めに私の家族を殺したのは
あんたたち
でし
 
殺されるようなことを
したんだろう
 
 
貴様
 
スト
 
スト
 
イトウ
イトウ
イト
 
塩彦
くんが
外国の人に
 
私は待ちますよ師匠
 
トア
プする口論に塩彦が割
て入る
 
そして特に口を出してない弥生が何だか偉そうにして
いた
 
お互い言い分はあるだろう
だがとりあえずは最
後まで俺の話を聞いてほしい
 
 
 
睨み合いながらも一応従
てくれる二人を見て
塩彦
が言葉を続ける
 
ダウトが存在しなければ
この世界の存亡が危
うい
と言うのは事実だ
インフ
ルノフレ
はき
と大丈夫だとしても
サクリフ
イスはこの世界
に確かに必要だ
 
 
弥生も深刻な表情に切り替わる
 
|自分
サクリフ
イス
の行いの意味
ダウトの存
在の是非については彼女も時折考えていた
 
かとい
ダウトが正義である
とは思えない
強引な手段を必要とするのは理解できるが
あまりにや
り方が残酷すぎる
少なくとも
反逆者や脱走者の家族
は有無を言わさず皆殺しなど
どう考えた
てやりすぎ
だろう
 
反発が出て
|抵抗集団
トラスト
ができるのも
 
一旦彼はそこで切
自戒するような顔をしながら
も続けた
 
時間の問題だ
だろう
彼らの行いは世界
規模で見ると害悪だが
だからと言
泣き寝入り
しろとはとても言えるはずがない
彼らは加害者だが
被害者でもある
他でもないダウトの
 
今すぐに手を取り合えと俺が言
ても
誰も納得しな
いだろう
だが
今ダウトは内部から俺の仲間が良い方
向に向けている
少しずつだが
今の技術ではサクリ
イスの数をゼロにはできないのは悔しいが
被害者
の数は確実に減らせる
 
抗争で忙しくなればそれもかなわない
きり言
てしまえば
君達の殺し合いは迷惑だ
 
やや挑発的にも聞こえる言葉を発したが
全員を見渡
しても
誰も口を挟むことはなか
 
心情的に無茶な事を言
ているのはわかる
とりあえず今日のところだけでもお互い矛を収めて
くれないだろうか
争いが一つ減るだけで
世界はマシ
になる
俺からは
以上だ
 
いいかしら
 
どうぞ
 
言い切
た塩彦に対し
莉緒が挙手する
 
理屈はわか
たわ
いえ
最初からわか
てる
所詮は何の得にもならない争いなんだと
こんなことを
した
て家族は帰
てこないと
 
私の心はどうすればいいの
 
この怒りを
悲しみを
ダウト以外の誰にぶつければいいの
 
俺でいい
 
塩彦は
莉緒が何を言うのかわか
ていたかのように
即答した
 
 
きはトラスト全体に言
たが
今度は君個人に
言う
復讐をやめろとまでは言えないが
復讐だけに生
きるのはやめておいた方がいい
 
俺は復讐に取り憑かれた男を知
ているが
最後に
は後悔していた
復讐なんかに捉われず
普通の生き方
をしたいと悔やんでいた
 
だから
復讐とは別に
何か
何でもいい
やり
たいことを増やすといい
復讐心が消える前も消えた後
心が楽にはなるだろう
 
死ぬことはできない身だが
殴られ役ぐらいなら務
めよう
君の怒りと憎しみを
少しでも和らげることは
できる
責任の一旦は
俺にある
 
塩彦の目は本気だ
 
罪を受け止め罰を受け入れる
受刑者の目をしていた
 
塩彦くん
女の子に
殴られる
すきだ
から
 
そうなんですか
 
先輩
変な設定を付け加えないでください
 
莉緒はしばし考え込んだ後
と頷いた
 
貴方にはさ
き完敗したものね
今回これ以上
やりあう
て雰囲気でもないし
とりあえず今日のと
ころは呑むわ
次の保障はないけれど
貴方はどう
朽葉
 
と喋るどころか皆の視界に写
ていなか
た朽葉
こくりと頷いた
 
いたのか
 
忘れてた
 
あの人
私と同じ名前
怖いけど
お友達に
れるかも
 
きから思
てたけど彼は誰なんだろう
 
コホン
ダウトの二人も
今回だけは俺の顔に
免じて
見なか
たことにしてもらえないだろうか
 
師匠がそこまで言うならあたしはいいですけど
 
弥生が巌夫を見やる
 
当然ながら
難しい顔をしていた
 
塩彦
さん
貴方の言い分は俺個人としては
ともすぎて反論の余地もない
だが
立場としてオメ
ガダウト
いやトラストを放置することは
 
オメガダウトなら
今日死んだ
トラストもいない
ここにいるのは
ダウトに恨みを持ち俺を殴るのが趣味
の女の子だ
 
本当に殴
て欲しいの
 
訝しむ莉緒をスル
して塩彦はオメガダウトの覆面
た切れ端を巌夫に手渡す
 
そういうことにはしてもらえないだろうか
 
しばし目を瞑り考え込んでいた巌夫は決心したように
口を開いた
 
危機を救
てくれた事は感謝します
ですが
次もこう上手くいくとは思わないで下さい
 
言う事は
 
ああ
オメガダウトの討伐には成功した
正体の人
物は生死不明だが
追撃の末崖から転落
捜索は困難で
ある
覚えたか
桜庭
 
 
ああ
うん
オメガダウトはあたしがや
けてや
たぜ
 
て事でいいんだよな
 
事実だ
 
私は
貴女に負けたつもりは
 
 
やんのかオメガダウ子
 
タイツビリビリに
 
やめろ貴様ら
 
俺の努力を無駄にする気か
 
わか
たわよ
 
すみません師匠
 
半ばキレかけて殺気を丸出しにした塩彦の怒号が飛び
二人は弱腰にな
 
この中で一番の実力者を怒らせても
碌な事にはなら
ない
 
割と本気で恐怖する二人を見て
ラゼ
トがフ
にまわ
 
あまり塩彦くんを
怖がらないで
あげて
さい
塩彦くん
てもいい人
必要ない
捨てられてた私を
くれた
 
先輩
 
トに
して
くれた
 
先輩
 
数年の間に
師匠がヘンタイに
 
トにはしてないから
 
漫才の雰囲気に耐えられなくな
たのか
莉緒が立ち
上が
 
これ以上言うことがなければ私達は失礼するわ
悪いけど
ダウトと長居する気はないの
行きまし
朽葉
 
 
朽葉は巌夫の方をちらと見
彼女の後に続いた
 
あの
 
 
呼び止めるラゼ
トに
何かと思
ていたら
 
ばい
ばい
 
ぺこ
 
控えめに手を振
て別れる彼女に
朽葉は軽く頭を垂
れた
 
貴方達全員
次会
たら敵よ
忘れないで
 
そう言
服を上から着込んだ少女は闇に
溶けて見えなくなる
 
 
しばし歩いた所で
莉緒は呟いた
 
とても
強い
でも
お人よしで
変な人
 
莉緒
 
何かしら
 
殺戮兵器
を捨てるのなら
もうこのキ
ラ作り
やめていいか
 
そうね
次は常に雄叫びを上げる狂戦士で行きまし
 
必要性は
 
 
では改めて
お久しぶりです師匠
 
私色持ちにな
たんですよ
 
すごいでし
 
褒めてください
 
あんなに小さか
君がね
立場はどうあ
成長したんだね
えらいえらい
 
頭を撫でられてにやにやする
弥生
ダウトではまず
見られない光景だ
 
塩彦さんには相当懐いていたからな
 
わたし
撫でて
ほしい
 
それと
その
サクリフ
イスにも
んです
 
 
喜ぶことなどできない告白に
塩彦の目が見開く
 
腐魂を狩る
こんなに大変なことだ
たんです
面白い色の胃液とか吐き出すし
寿命がガリガリ
削れてるな
てのをダイレクトに感じます
 
その人生に
納得しているのかい
 
わかりません
衣食住には困らないし
前より
良くな
た気もすれば
いつ死ぬかわからなくて夜中が
たがた震えたりもします
 
師匠
折り入
てお願いがあるのです
 
 
何かな
 
今日は頼みも聞いてくれたし
俺にできることなら何でもするけど
 
柔らかく微笑む塩彦に対し
たような笑顔で弥生
は言
 
あたしを
殺して下さい
 
 
 
 
それ
どういう意味で
てるんだ
 
驚きはしたものの焦らずに真意を問う塩彦
 
サクリフ
イスのデメリ
トは知
ていました
言うかそれ自体にはデメリ
トしかないんですけど
まさか
腐魂の浄化があそこまで単調なものだとは思わ
なか
たんです
 
変な言い方をしてしまえば
いくら狩
ても血も沸か
ないし肉も踊らない
戦闘の高揚感も
焦燥感も何も
ない
自分の内臓をひたすら殴り続けるような感覚でし
 
てる最中思
たんです
ああ
あたし何や
てん
のかな
 
あたしにと
生きる事は戦いで
戦う事が生きる
ことでした
今もそうです
いくらお金を使
ても
分の一番底にあるものには届きません
 
死ぬんなら
腐魂なんか吸収して死ぬより
強い
敵に立ち向か
て死にたいんです
師匠のような
強者
 
今日
貴方の戦いを見て
そう思いました
 
そうして弥生はフ
イテ
ングポ
ズを師に向けた
 
一手ご教授お願いします
 
おい
桜庭
 
止めないで
茶村
あたしはサクリフ
イスとして
死ぬなんて絶対にごめんだ
死ぬんなら
人間として死
 
 
弥生くんの
寿命は
 
正確にはわかりませんが
自分の感覚では一年
持つかも怪しいです
 
そうか
 
塩彦はしばし考え
それからゆ
くりと構えた
 
 
塩彦
くん
 
大丈夫です先輩
とりあえず今は殺す気はない
弥生くん
この戦いが終わ
た後
君がどうしてもと言
うんなら考えよう
 
きの女の子もそうだけど
溜め込んだストレ
スを発散できれば
心が楽になるかもしれない
 
 
塩彦
くん
ぱり
女の子に
ぶた
れたい
 
俺をそういうキ
ラにしないで下さい
 
感謝します
 
その言葉を勝負の合図とし
師弟対決の火蓋が切
落とされる
 
 
弥生のボルケイノが
ドの塩彦の頭を揺らす
 
 
遠慮は要りませんよ師匠
あたしも師匠と同じで
殴られて興奮するタイプなんです
 
同じタイプじ
ないよ
 
塩彦の右ハイキ
クが
右腿狙いの蹴り下ろしへと変
化する
 
魔拳は手技に限らないと言うのは
魔拳使いの間では
常識だ
 
鞭で打たれたような痛みが
弥生の足を襲う
 
 
うおお
 
その痺れを雄叫びで誤魔化して
両手による同時魔拳
を放つ
 
クロス
ボルケイノ
 
頭の上で交差した拳がそれぞれ変則的に蠢き別箇所を
穿つ
 
塩彦はそれを受けようとしながらも
カウンタ
とな
るタイミングで踏み込んで魔拳を放つ
 
右手も左手も
右足も左足も使わず
 
首による魔拳を使える者は
歴代でもそうはいない
 
大きくテイクバ
クしてからの右頬を吹き飛ばすよう
なヘ
ドバ
トが弥生の奥歯を一本へし折
 
同時に
塩彦もその身に魔拳の二撃を受けた
 
 
流石にガ
ド無しだと
骨身に染みるな
 
お互いに手痛い打撃を喰らいながらも
臨戦態勢を崩
さない
 
 
何をしている桜庭
 
折角相手が付
き合
てくれるんだ
と死ぬ気で打ち込め
 
し惜しみするな
 
巌夫の怒号を横で聞き
ラゼ
トも塩彦にエ
ルを送
 
後で私が
痛いの痛いの飛んでけ
てあげる
から
塩彦くん
頑張
 
出し惜しみするな
師匠
あたしの魔拳
うですか
 
正直に言
て下さい
 
ダウトでは間違いなく凄腕に入るだろう
立派
だと思う
そこ止まりじ
あ合格点は与えられな
 
ぱり
ですか
と怒らせます
本気にな
てくれないと
師匠は私に手加減しち
いま
すから
 
 
ラア
解放
 
 
弥生の動きが
一段速くなる
 
踏み込む速度が
攻撃に移るテンポが
拳打が
蹴撃
 
そして
魔拳が
 
それこそギアが変わ
たかのような動きには
塩彦も
見覚えがあ
 
君は
ラア
ツは習
てなか
たはず
どこ
でそれを
 
ダウトに記録が残
てたんです
私の才能では魔拳
一本で勝負することはできないと思いました
結果とし
てサクリフ
イスに選ばれてしまいましたが
強くな
たこと自体に後悔はありません
 
過程も
結果もダメダメだけど
あたしは強くあろ
うとした事を
あたしの道を否定したりはしない
 
防御をしなければ命に関わりかねないレベルの猛撃を
塩彦は冷静かつ的確にさばいていく
 
流石ですね
なら
これならどうです
 
ラパワ
 
一際強い正拳をき
かけとして
弥生の動きが左右か
ら襲い来るようなものへと変わる
 
ラパワ
二式
 
三式
四式
五式
 
 
もはや手加減のできる領域ではない
 
女性とは思えない荒
しくも的確で
何より重い連撃
が塩彦の身体を揺さぶる
 
そしてこれが
ラア
ツ零式
 
見せかけての
 
ラを放出したままスタイルを切り替え
タイミン
グを外した所に狙い撃つ
 
魔拳
ボルケイノ
三連
 
傍目で見ていた巌夫も決ま
と思わずにはいられ
ない見事な緩急の連携だ
 
だが
その隣のラゼ
トは彼がどう返すかわか
てい
 
グラン
ボルケイノ
 
 
 
速射性に優れた
緊急迎撃用
または強襲用の連続魔
 
一手一手の威力は控えめながら
魔拳の打ち合いにお
いてその効力は大きく
 
攻勢ゆえ無防備だ
た胸部を
一撃が打ち抜いた
 
ぐは
 
心臓が止まりかけるほどの衝撃に
弥生は受身も取れ
ずに吹き飛ばされた
 
強い
 
付け焼刃の二枚じ
適わない
これが
本物の魔拳使い
 
ぱり
横道に逸れたあたしじ
勝てるわけない
 
弥生の頭を
諦めが支配する
 
良か
最後に
師匠のような人と戦えて
 
まだだ
 
巌夫が突如叫びだし
ラゼ
トは
びく
と震
えて後ずさ
 
まだ限界まで出していないだろう
 
立て弥生
 
激励するだけに飽き足らず
巌夫は倒れこむ彼女に歩
み寄り
手を取
て無理矢理に立たせる
 
お前は才能はあるくせにやることなすこと全部中途
半端の
ダメだと思
たらすぐ投げ出すいじけ女だ
俺がその中途半端
少しは埋めてやる
 
兄貴
 
これはお前の戦いだ
お前が
に出ろ
 
ありがと
へへ
愛してるぜ
お兄ち
 
 
二人のやりとりを黙
て見過ごす塩彦
 
どうやら
ここからまだ奥の手があるらしい
 
そうなると
おおよその想像はつく
 
彼女は
サクリフ
イス
なのだから
 
 
ほら弥生
ご飯だぞ
てないから
落ち着いて
食べろ
 
おにいち
ごはんたべないの
 
もうみ
かも
なにもたべてないよ
 
お前が見てない所で
かり食べてるんだよ
お兄ち
ん元気だろ
 
うそつき
ほんとうは
なにもたべてないの
おにいち
んがたべないんなら
あたしもたべな
 
バカ言うな
お兄ち
んはな
お前とは違
て強い
んだよ
強くな
妹を守らなくち
いけないんだ
だから
大丈夫だ
 
あたしがよわいから
おにいち
んごは
んたべれないの
 
まあ
そうなるかな
別に
気にすることはない
 
ううん
あたし
がんば
てつよくなる
 
おにいち
んと
あたしと
ふたりでおなかい
ぱいた
べられるように
つよくなるよ
 
はは
そうだな
強く生きていこうな
二人とも
 
はじまりは
そんなやりとりだ
 
妹は兄のため
兄は妹のために強くあろうと誓
 
妹は
兄よりも戦闘の才があり
その強さを認められ
サクリフ
イス
にな
てしま
 
兄は
妹を守るため自ら進んで
レギオン
になるこ
とを申し出た
 
お互いを思いやり
強さを求めた二人は
結果として
お互いの命を縮めることとな
 
 
二人は共鳴する
 
血筋の繋がりを
意志の繋がりを
一本の糸へと紡ぎ
合わせる
 
たとえ始まりから間違
ていた道だ
たとしても
 
今この瞬間は
二人の絆で
二人の力だ
 
ソウル
アクセス
 
|巌夫
レギオン
と|弥生
サクリフ
イス
が|
融合
ソウルアクセス
|世界から一歩踏み出した
存在
インフ
ルノフレ
と化す
 
即ち
|世界崩壊
テンペスト
を防ぐ
|ギガトラ
スト
大いなる信頼
 
弥生の裸を軸として
胸元を大きく開けた扇情的なド
レスを身に纏う
薄い素材の桜色ドレスは
よく見れば
すら透けているものの淫靡と言うよりは優艶であり
 
手には
巌夫の
デモニ
クスピア
足はガラスの
ようなハイヒ
ルを履きながらも敏捷性を損ねない
して頭にテ
アラを被
た姿は神話の女神のように絢爛
であ
 
ギガトラスト
トライデント
これがあた
し達の
本気の本気です
 
インフ
ルノ
フレ
すごい
 
君達が兄妹で
しかもインフ
ルノフレ
ムに
までなれるとは
驚いたよ
 
感嘆する二人
 
融合してインフ
ルノフレ
ムになれるということは
ダウトの切り札
その一角を担
ているという事である
 
兄妹については特に隠してたわけじ
ないんですけ
どね
あたしたち元
の苗字がないし
顔も似ていない
から
誰もそう思わなか
ただけです
 
言いながら
トライデントは弥生の姿形をしながら巌
夫の構えで塩彦に槍を向ける
 
不完全
にしてあるので攻撃はお互い通ります
行きますよ
師匠
 
トライデントの
槍の師匠
琥珀に類似した姿勢で
猛進する
 
インフ
ルノフレ
ム化による身体能力の向上
更に
ラア
ツによる加速も相ま
師に匹敵する勢い
の速度とキレを有していた
 
それに対し
塩彦は
 
そうか
ならば俺も
同じ条件でいかせてもらお
 
と言
万物を切り裂かんが如く唸る槍突を生身の
腕で受け止めようとする
 
 
いや
何か考えがあ
てのこと
押し通
 
師匠の腕前を信じ
迷うことなく地を駆けていくトラ
イデント
 
その槍を受け止めたのは
 
 
春美
かりしろ
春美
 
倒壊する学校の中で
塩彦は重症を負
た友人へと声
をかける
 
なんで
泣いている
 
巻き込んで
しま
この争いは
俺を標的と
したもの
俺が原因
なんだ
 
友の出血はおびただしく
まず助からないであろうこ
とが伺えた
 
すまない
春美
俺の
弱さが
俺の
迂闊さ
無関係のお前を
苦しめた
 
戦い続けるなんて言わなければ
 
言われた通り戦いを止めていれば
こんなことにはな
らなか
 
謝るなよ
謝るんじ
 
 
俺は
怖か
変な奴等が現れて
暴れて
わけもわからず
恐怖に震えた
このまま殺され
るのかと
たんだ
 
 
でも
お前が
来てくれた
あんな
わけわか
んね
連中に
立ち向か
ボロボロにな
てまで
撃退してくれた
 
春美が
苦痛を堪えながらに
こりと笑
 
嬉しか
んだぜ
お前が来てくれて
俺は救
われた
心底
としたんだ
 
 
春美の力が
に抜けていくのを感じる
 
それでも尚
彼は喋るのを止めようとはしなか
 
胸を張れ
青井塩彦
 
お前が
何者だ
過去に何をや
ていたのかは
知らね
だが
今こうして俺を助けに来てくれた奴が
間違いであ
るわけがね
 
 
お前は立派だ
正義の味方だ
 
自分を恥じ
るな
信念を曲げるな
 
違う
 
違わね
誰が
否定しても
俺だけは
前を
肯定してやる
助けてくれ
ありが
 
 
糸を切
たように
 
春美は
動かなくな
 
春美
俺は
 
ても
いいんだな
 
 
 
しい手甲を纏
塩彦の両腕であ
 
お前が作
てくれた道だ
春美
 
ギガトラスト
 
 
青の戦士
 
現代最強の魔拳使い
 
雛鳥に祝福を受けた
|ギガトラスト
大いなる信頼
渾身の力で槍を弾き飛ばした
 
りで
あまり驚かなか
たわけだ
聞い
てないですよ師匠
単独インフ
ルノフレ
ムなんて
 
聞かれてないからね
それと俺は
単独
ない
特殊なタイプの融合型であ
単独は別に存在
する
 
師弟が
拳を交えんと疾駆する
 
攻撃速度においては塩彦に利がある
だが
移動速度
はオ
ラア
ツを駆使するトライデントが上回
ていた
 
槍による三連突
塩彦が腕で受けると
その死角を利
用して横に回りこむ
 
 
 
正面からの攻撃よりも
側面や背面からの攻撃の方が
防御が難しいのは当然だ
 
魔拳なら
尚更である
 
そして魔拳を凌いだ瞬間
防御の合間を縫
て槍撃が
飛んでくる
 
いくら塩彦と言えど
完全に捌き切ることはできなか
の肩当てが粉砕され
内部にまでダメ
を通す
 
 
そして槍のリ
チの長さとオ
ラア
ツによる急後
退は
反撃を困難とする
 
 
 
 
トライデントの頬を
拳による風圧が撫でた
 
なんて
反射速度
 
それでも尚喰らい付くのが
塩彦と言う男だ
 
ラア
ツで滑るように高速移動し
防御崩しの
魔拳で牽制して
僅かな隙に槍をねじ込む
これが君
|戦い方
魔拳
 
あはは
せこい
ですか
 
いや
見事な間隙突きだ
師として
成長を嬉
しく思う
 
お褒めに預かり光栄です
師匠
あたしは
師匠
みたいにはなれません
あたしの魔拳は
これでいい
 
ラア
 
トライデントの闘気が爆発的に膨れ上がる
 
怪我も
立場も
戦う理由も
もはや関係ない
 
自分の生き様を
目の前の人にぶつけるだけだ
 
パワ
フル
スロ
トル
 
その加速は
常人
いや
ダウトの精鋭から見ても
ほとんど瞬間移動に近か
 
左手に
魔拳
 
右手に
|デモニ
スピア
レギオン能力
 
右足に
ラア
 
回避も防御も不可能とする|三又槍
トライデント
の一撃は
未だかつて誰にも破られた事はない
 
デルタ
デストラクシ
 
本当に
強くな
たんだな
 
彼女ら二人の
魔拳
を目の当たりにした塩彦が
く通る声で言
 
俺も
見せよう
本気の
本気を
俺一人では
辿り着けなか
魔拳の
 
塩彦の両腕が
だらんと垂れる
 
戦いを放棄したのではない
 
戦いに勝利するための術である
 
その構えは
他のどの魔拳とも違うものであ
 
 
塩彦が
息を吸い込む
 
瞬間
 
数十撃もの魔拳の嵐が
トライデントの前面に出現し
 
魔拳
ヘルクラ
 
 
これが
青井塩彦
 
始祖の血族
 
魔拳を継ぐ者
 
トライデントの意識は
そこで途絶えた
 
 
起きた
大丈夫かい
 
弥生が目を開けて最初に見たのは
心配そうに覗き込
む師匠の目だ
 
 
あたし
何して
あいた
 
あいたたた
 
起き上がろうとすると全身にひどい痛みが駆け巡
 
俺達は二人がかりで挑んで
ともなく負けたん
気が済んだか
桜庭
 
やや辛そうに座している巌夫の方を見れば
朝日が少
しだけ昇りかけていた
 
いや
ちも
二人がかりだから同じだよ
 
 
それで
その
殺して欲しい
て言
てい
たのは
まだ思
ているかい
 
おずおずと尋ねる塩彦
どういう返事を期待している
かは明らかだろう
 
そして弥生も
どこか吹
切れた思いはあ
 
顔面の筋肉すら痛むのをどうにか堪えて
師匠に笑顔
を向ける
 
いえ
少なくとも今は
師匠に追いつきたい
です
まだ
生きていたい
です
 
そうか
よか
 
心底から心配していた塩彦が喜ぶ様子を眼前に
弥生
は気恥ずかしさに顔を赤らめた
 
やれやれ
人騒がせな
 
でも
よか
です
 
一件落着
ですわね
 
なんか一人増えてた
 
あれ
ライザ
隊員
なんでここに
 
気にしなくていいよこの子は
い役だから
 
なんてことを言うんですか
 
シババババババ
 
ぐわ
ツインテ
ルが
 
応援要請を受けて来ました
塩彦が貴女達をボコボ
コにしてるのを見た時はどうしようかと思いましたけど
 
ライザ
隊員
師匠と知り合いなんですか
 
ええ
私は塩彦のメイドですの
 
何言
てんのこの子
 
トに加えてメイドもいるんですか
 
 
塩彦
何か飼
ていました
 
そこの人
 
塩彦くん
わん
わん
 
貴女ペ
トだ
たんですの
 
数年の間に
師匠が女たらしに
 
ライザ
が出てくると話がややこしくなるから引
込んでいてくれ
先輩も
悪ノリしないの
 
私も出たいですの
出たいですの
 
ライザ
を画面の外に押しやる塩彦
 
きのでわか
たと思うけど俺もサクリフ
イスだ
多少は力になれると思う
これからも何かあ
たら相談してくれ
 
はい
師匠
 
それに
君にはパ
トナ
もいるだろう
一人で抱
え込む必要はない
 
ごめん
あに
茶村
 
いや
気が付かなか
た俺も悪い
帰るぞ
 
 
巌夫が弥生を持ち上げて背負い
その場を後にする
 
妹が世話になりました
縁があ
たらまた会いまし
塩彦さん
それとラゼ
トさん
 
師匠
その
今度
よろしければお食事で
おい
と待て
止まれバカ茶村
早歩
きするな
 
ああ
二人とも
元気でね
 
ぺこ
 
あれ
私置いてけぼりですの
 
出れただけありがたいと思え
 
何ですのこの扱い
 
しばし歩いた所で
弥生は呟いた
 
なんか
こうしておぶ
てもらうのも久しぶり
だな
 
 
俺がお前をおぶ
た事など
たか
 
たんだよ
あの
 
なんだ
 
あたし
お金ならドブに捨てるほどあるからさ
 
嫌な大人にな
たな
 
たまには
二人でおいしいものでも食べに行か
ない
 
 
まさか妹に奢られる日が来るとはな
 
奢るとは言
てないよ
 
違うのか
 
唐突にシビアな事を言い出す弥生
 
へへ
 
 
どうした
 
ううん
今の生活も
悪くないかな
 
まだ疲れが抜け切
てないのか
それとも兄の背中が
心地良いのか
 
 
弥生は再び
寝入
てしま
 
悪くない
 
そうか
 
それは
何よりだ
 
肩の上で静かに寝息を立てる妹に
兄が一人微笑んだ
 
 
まだ疲れが残
ている
 
家に帰るのも苦労するほど疲弊していた塩彦はラゼ
ト達と別れて
一人近場のホテルで一泊してから
ラゼ
トが家に泊ま
て行くかと尋ねたが丁重に断
自宅
へ戻
てきた
 
ガチ
 
おう塩彦
お邪魔してるぞ
 
何故か自分の家に変えれば春美がベ
ドに座
ていた
 
何故貴様がここにいる
鍵はどうした
 
ああ合鍵作
まあいいだろう
俺とお前の仲じ
 
勝手な真似を
 
そういやなんか女の子が訪ねてきたぞ
師匠はいま
すか
なんかお前のことらしいけど
 
弥生くんか
それでどうした
 
俺のハニ
に何か用か
て言
たら凄い顔して
てい
ちま
 
ボルケイノ
 
ぐふ
 
春美は死んだ
未プレイだと全然わかんない
 
魔拳を継ぐ者
ラクタ
解説
桜庭
 
弥生
オリキ
ラその
本編にこんなんはいない
モチ
フははなみちのレフテ
イスカ
て感じ
イス
カかわいいよね
魔拳を継ぐ者かと思いきやまさかのオ
ラア
ツ使い
ラア
て普通に強くね
茶村
 
巌夫
オリキ
ラその
本編にこんなん
なんかガレリアン
ぽくな
たね
ただのレギオンかと思いきやまさかのオ
ラア
ツ使い
ペド野郎のホ
ランスとかシスコンのビ
ストゲイ
て闘気操作だしオ
ラア
ツと関係あるような気
がする
浅葱
 
莉緒
オリキ
ラその
本編
性格違うけど容姿はす
まともにな
た例のあいつ
てイメ
あいつだよあいつ
ゾンビ
微妙な能力
強い設定ではあるんだけどね
たぶん部下の方が強いぞ
朽葉
オリキ
ラその
もう無い
下の名前は特に考えてない
モチ
フは殺戮兵器
て聞
いて最初に想像した俺のイメ
ラ付けの都合上ほとんど喋れなか
青井
 
塩彦
我らが大人気主人公
はなみち塩彦に匹敵するぐらい強いかもしんない
この時間軸あたりでこんなことや
てんじ
ないかな
て想像して書いた
ヘルクラ
が使えるかどうかは議論の余地があると
思う
ラゼ
黄海
みんな大好き殺戮兵器
いや
本編での大暴れは爽快だ
たね
なので今回も大
活躍していただきました
ごめんなさい
て言うとガル
ダとかぶるよね
ライザ
エンハンススノ
い役
柘植
 
春海
こいつ死にそうになくね
 
て思
てたら最後なんか
出てきた
死んだ
 
そんなわけでギガトラスト二次創作でした
 
ギガトラストと言いながらはなみちネタやらなんやら
たりしてましたが
まあギガトラストをプレイして
いたら問題なく読めると思います
 
んな奴
誰一人いないとは思いますが
もし原作未読
でこの小説を読み
その上で
正義の味方ギガトラスト
及びゴリ
作品に興味を持
て頂けたなら幸いです
 
幸いです
 
てかや
て下さい
超面白いんで
フリ
ムな
んで
ライダ
とギガトラストは
 
そんな感じです
 
はまらん

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 はまらん 先生に励ましのお便りを送ろう!!