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ep.2 戯言の天使

天使
 
オレは腹がよじれそうにな
胃がせりあが
てき
て気持ちが悪い
そんな感じだ
何でまた
それをオレに
 
親友がいきなり言い出したこと
それは
自分は天使
であるということだ
 
その日の放課後
クラスの委員長でもある親友が
と暗い気持ちで教科書を鞄に突
込んでいるオレの机の
前にや
てきた
聞いてくれるか
 
いつに無く真剣な面持ちで
委員長はオレに呟く
なに
 
委員長は転校生だ
五年前
中学一年のときに他
県から転校してきた
色白で長身
美少年のそいつは
どことなく只者で無い雰囲気を当初からぷんぷんさせて
いた
そして
その雰囲気を裏切ることなく委員長は
その日から皆の人気者とな
ていた
俺さ
お前に言
ておきたいことがあるんだ
 
対してオレは
フツ
の奴だ
フツ
に友達がい
フツ
に馬鹿や
とりあえず
フツ
たこ
とは覚えてる
クラスの中心でもはじかれでもない
のポジシ
意図してそうや
てきたんだ
 
てみな
 
何でか知らないが
オレと委員長は友達にな
 
確固たる何かがあ
たというわけではなく
ただなん
となく
なんとなく友達にな
 
つまりたぶん
気が合
ということだろう
 
そして気がついたら親友とも呼べる存在にな
ていて
同じ高校に進学していた
そんな委員長が誰もいなくな
た教室でオレに改ま
た態度で話しかけてきたのだ
俺さ
天使なんだ
 
突然
虚を突かれて
オレは吹き出す余裕すらなか
天使
 
何でまた
それをオレに
 
歯をかみ締めてオレは返答を返す
 
ちみちありえないことだ
うん
実はな
ある一人の天使を探してるんだ
 
聞くところによると
委員長は十年前に人間界に逃げ
た一人の天使を探す任務を請け負
た天使なんだそうだ
何でもその天使は
天界での親友だ
たんだと
期限が今日なんだ
 
そう
委員長は五年間でこの堕天使を見つけねばなら
なか
大体この近辺だということで
天使界では直
ぐに見つかるはずの
楽な任務だ
たらしい
結局
つからなか
たらしいのだが
それで
別れを言いに来た
 
委員長は今日で人間界を去るという
 
オレは半分ホ
としながら委員長を睨みつけた
大体
天使
てさ
自分の正体を人間にばらしち
あだめなんじ
 
そうだ
確かそんな掟があ
た気がする
ああ
そうだよ
でも
お前にだけは本当のことを言
ておきたか
たんだ
親友だかんな
 
そこで
オレは我慢できなくな
て笑
かすれて
声が出なか
たが
そんなに笑うなよ
 
委員長が苦笑しながら言う
 
そこでオレは姿勢をただし
急に態度を厳粛なものに
切り替える
いいかげん
本当のこと言えよ
転校するんだろ
お前
 
オレはよく知
ていた
委員長の正体を
あいつは
そういう
性格なのだ
 
委員長は目を丸くした
そして
直ぐに鼻で笑
そうだな
うん
そうだよ
なんでもお見通しな
んだな
 
委員長はオレに背中を向けた
 
教室の扉まで歩いていき
その扉の前で立ち止まる
 
そして
振り向かずにこう言
あな
バイバイ
人間にしち
あお前は
いい奴
たよ
 
そうい
あいつは教室を出て行
 
あいつが去
たあと
オレはため息をついた
そして
椅子から立ち上がると
あいつが立ち止ま
たときわざ
と落とした一枚の羽を拾い上げる
人間にし
 
純白の
人間には決して見
触ることの出来ない純白
の綺麗な羽だ
あいつ
結局気がつかなか
たのかな
最後まで
 
オレはあいつの正体を知
ていた
五年前
転校して
きてからず
流石にまずいと思
人間界に降り
て五年
こんなところで捕まるなんて
でも
あいつは気付かなか
 
十年で時効なのだ
つまり
あと七時間ち
いや
気付いていたのかもな
 
あいつのことだ
十分にありえる
それに
自分の正体をバラすとはな
それもこのオレに
 
うまくリ
ドして
あいつの
を回避してや
 
今も
昔も
親友としてはこれくらいはしてやらない
とな
 
鼻で笑い
両眼を瞑る
借りは返さなくていいぜ
どうせ
もう
会うこ
とはないんだから
 
教室全体に夕焼けの雫が広が
ていた
 
今更ながら綺麗だと
本当に
そう
 
放課後の教室
その静寂を切り裂いて
親友
の言葉
が俺の背中に突き刺さる
その羽を拾わなければ
見逃してや
たのに

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