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ep.1 桜の亡霊 (3)

 
彼が演奏を続けていると一人の男が彼の前で立ち止ま
制服を着ている外見から
高校生くらいだと大体想
像がつく
何で
こんな夜中にギタ
なんて弾いてるんですか
 
浅黒く日焼けした肌の青年が強い口調で呟く
 
彼は演奏を止め
男の顔を見上げた
こんな夜中に
僕に何のようかな
 
笑顔で青年に聞き返す
街灯に照らされたその顔は笑
ているが
目の奥
その根本的な部分は全く笑
ていな
青年は彼のその雰囲気を感覚で察知したのか
少しだけ身構える
僕に用があるから
わざわざ
こんな夜中に君の方こ
この場所に来たんじ
ないのかい
 
隣に座
りなよ
短い話じ
ないだろう
 
彼はそう言
て青年を促した
青年はそれに従
てベ
ンチに腰を下ろす
君の名前はなんて言うんだい
木戸浩司
 
青年は端的に答える
表情は暗か
都市伝説みたいなの
聞いたんです
七夕
夜中の二
時三二分にこの公園にギタ
を弾く亡霊が現れる
その亡霊が
願いを一つだけ何でもかなえてくれる
 
青年が両手を組んで笑う
おかしい話ですよね
そんな都市伝説
信じてない
信じてないはずなのに
俺はこうしてこの場所にこうや
て座
ている
あるわけない
あるわけないのに
僕がその亡霊だと
 
ギタ
の彼がに
こりとほほ笑む
不気味だ

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