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ep.1 桜の亡霊 (1)

 
街灯だけが視界をもたらす
そんな夜
 
田舎の公園の中央にぽつんと置かれた木製ベンチに一
古びた色のクラシ
クギタ
を弾く若い男が腰かけ
ていた
 
白いパ
にジ
ンズ
割とラフな格好の彼が奏で
るその演奏は聴く者の心を洗う
そんな演奏だ
 
突然
演奏が止ま
 
静寂の中彼が呟く
彼の口が開くと同時に白い息がこ
ぼれおちた
月が奇麗だ
 
彼の言うそんな空は新月
月なんて見えやしない
お前も
そう思うだろう
 
彼が問いかける先には二つ並んだ桜の木
街灯に照ら
された部分が煌びやかにその色を闇に映し出していた
この公園中央に植えられたこの二本の桜は
近所の人た
ちからいつしか
双桜樹
と呼ばれるようにな
ていた
 
彼は再度クラシ
クギタ
を奏で始める
 
彼にしか見えないものに
会うためだけに

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