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目覚めはどうか花畑で

本日の創作テ
モチ
お題は
人間
の花
#本日の創作テ
マモチ
フお題
目覚めはどうか花畑で
 
一番美しい自殺方法はビニ
ルハウスの百合の花畑で
眠るのだと聞いた事がある
 
百合が出す毒が充満して死ぬのだ
たか
酸欠で死ぬ
のだ
たか
 
具体的な死因は忘れてしま
たが
そんな方法で死ね
るものか
と思
た記憶がある
 
三十年生きてきて
ふと思
たのは生き過ぎたな
いうことだ
 
大卒の二十代前半で死んでおけば良か
たのだ
 
そしたら百合など用意しなくても美しく
儚く
鬱屈
した若者ということで許されただろう
 
この年になれば
死にたいなど不用意に口に出せず
 
自殺などしたら過労死か
まともな大人ではないとい
うことになる
 
 
事実まともな大人ではないのだが
 
切欠は何だ
たか思い出せないが
私はず
とず
死にたか
 
すぐにでも
 
ただ勇気が無か
ただけなのだ
 
怖そう
痛そう
苦しそう
そんな単純な感情からだ
 
そして
また切欠は何だ
たか思い出せないが
自殺
を実行しようと思
たのだ
 
大学を卒業し
アルバイトと株で食いつなぎ
 
テンを一度も開けぬままのアパ
トで芋虫のよう
に生活する自分に
 
この先何の楽しい事も無いと決定的にな
たからかも
しれない
 
人生ず
と低空飛行
踊り場
心電図で言えばゼロ
 
とにもかくにも
わからないが死にたくて
死ぬ事を
実行したくて
 
アルバイトを辞め
部屋の物を捨て
部屋を引き払い
高級ホテルに数泊の予定を入れ
 
金を残してどうすると死に装束のために好きなブラン
ドの服と下着
 
グロ
トロ
のス
ツケ
ルブタンの靴
を買い
美容院とエステに行き
身奇麗にした
 
た今は化粧をしている
 
そうホテルの鏡台で死に化粧をしているだ
 
この後
酔い止め薬を砕いた粉末をヨ
グルトやプリ
ンに混ぜて食べるのだ
 
一箇所で沢山買うと怪しまれるから何軒かドラ
クス
トアを回
 
死ぬ前にそんな徘徊するはめになろうとは
死ぬ直前
の飯がヨ
グルトなんかになるとは思わなか
 
錠剤を潰すというのは意外と骨が折れる
 
普通に叩いても全く割れず
ドプロセ
で粉
にした後にすり鉢で完全に粉にした
 
これがまた結構な量で
オブラ
トに包んで再度小分
けにしようとしたのだがそれでも量が多いので
 
結局半分はネ
トで見たヨ
グルトやプリンに混ぜる
方法に変えた
 
化粧は最後に普段使わない色の濃いグロスをのせて終
わりだ
 
これから食べるので落ちにくい新商品のグロスにした
 
死ぬまで落ちなか
たら
あの世から化粧品会社に賞
賛を送ろう
 
少しずつ身体が熱くな
てきた
薬の効き目を良くす
るためにアルコ
ルも摂取している
 
今まで味わ
た事のない高級日本酒は
とろりと舌と
喉を滑
て胃を発火させる
 
これからホテルの花屋に行
て百合を揃えるのだ
合と一緒に何か合わせてもら
てもいい
 
今の季節なら百合は揃
ているだろうし
と高級
なホテルならある程度の品揃えは備えているだろう
 
よく知らないけれど
 
化粧品を片付けて
厚めのトレンチコ
トを羽織
部屋の外に出る
 
このコ
トは百年持つんですよ
何十年も可愛が
あげてください
 
とお店の連絡先とお手入れ方法が載
た冊子を渡して
くれた店員の顔が思い浮かぶ
 
何十年も生きる気力など
とうに残
ていない
 
少し酒が回
てしま
たのか
ふかふかした絨毯にピ
ンヒ
ルがめり込んで歩き辛い
 
初めて履く靴だ
汚い道路を歩かない用の赤い靴裏
血の様だ
 
バランス感覚が崩れている
 
エレベ
に乗るとホテルマンの人と乗り合わせて
その人に花屋はロビ
のフロアですか
と尋ねる
 
彼は同じ階だが
棟が違うので連結通路が違うと教え
てくれて
そのフロアの数字を押してくれた
 
笑顔を返されたので笑顔を返しておく
 
どうだ
きまで死に化粧をしていた出来立ての綺
麗な顔だ
 
エレベ
を降りると絨毯は無くな
たのでヒ
音を気にしながら
連結通路を渡り
 
違う館に入
て館内案内を確かめると花屋を目指した
 
外国人観光客や年のい
たおじさんおばさんが笑
いる横で
直ぐと花屋に向かう
 
こういう時
地図を素早く読める能力は役に立
 
ていた以上に花屋は小ぢんまりとしていて
人が
それなりに居た
 
それでも素早く店員の人が寄
て来て
百合といくつ
か見繕
てください
とお願いした
お好きなお花や
ご予算の予定
アレンジの希望など
ございますか
好き
な花は無いんですけど
百合も含めて三十本く
らい頂きたいです
花束で
アレンジはお任せします
お祝い事でし
うか
はい
友人の新しい門出です
それはお目出度いですね
ご用意させて頂きますので
こちらの札をお持ちください
 
札を受け取
て花屋を見回る
 
ンにスプレ
何故か桃や桜もあ
 
桃なんかまだあるのか
と無理矢理花を開かされたよ
うな枝を見る
 
生き辛いね
お互いに
 
生まれるところを間違えると
 
お客様
と声をかけられて札など無駄だ
たことを知
 
渡された花束は黄色の紙に包まれ
金色と白のリボン
が巻かれていた
 
百合は思
ていた白百合ではなくピンクの派手なもの
華やかだ
 
仏花だとでも言えば良か
たと後悔するが
そう言う
と怪しまれそうで押し黙る
 
百合と薔薇となんだかよくわからない紫色の花
もし
かして菫
と菜の花
 
とても綺麗ですね
と笑うと
ジカ
ドお付
けになりますか
 
と押し花が散りばめられたカ
ドを見せられた
 
そのままで結構ですと言
て部屋のカ
ドキ
を渡し
て清算をした
 
花をベ
ドにばら撒こうと考えていたけれど
何だか
面白くな
てきて
 
花束を花嫁さんのように抱えていこうと計画変更する
 
神の嫁になります
みたいな
 
花束を入れた紙袋を持
て部屋に戻る
 
さて
本格的に死にますか
 
部屋の扉を閉めると何故かぼたぼたと涙が零れ落ちて
きた
 
死ぬのになんと面倒臭いことだ
 
どうでもいい
面倒臭い
だるい
なんでもいい
局は生きていたくない
 
目を開けて世を見たくない
 
耳を立てて音を流れ込ませたくない
 
鼻で匂いを感知したくない
 
口を動かして咀嚼も呼吸もしたくない
 
身体を動かしたくない
触れたくない
 
臓器も器官も
全て全て動かしたくない
 
生産も消費もしたくない
 
原子レベルで分解されて消滅したい
 
最後の晩餐を作ろう
準備をしよう
 
ドを整えて
花束を紙袋から出してヘ
ドサイド
に置くと
 
冷蔵庫からヨ
グルトとプリンを取り出した
 
いつもの癖で安いものを買おうとして思い直して一番
高いものにした
 
プリンは有名どころのお高いやつ
 
全て高いものを買いそろえるなんて普段どれだけ私は
みずぼらしい生活をしていたんだろう
と苦笑する
 
蓋を開けて薬の半分をかき混ぜて
一口食べる
 
ざら
とした触感が残
ていて
結構な量で頑張ろう
と思う
 
頑張ろう
笑える
人生頑張りたくなくて死ぬのに
死ぬのを頑張るのだ
 
一口ずつ口に運びながら偶に日本酒に口付ける
 
ひんやりとした毒物が唇に触れて
緩やかに喉を通り
抜けていく
 
砂時計の砂みたいに
蛇口から桶に溜まる水みたいに
一定速度で胃に溜ま
ていく毒
 
早く
早く消化して欲しい
 
グルトと日本酒の組み合わせは存外悪くない
 
私自身ツマミはあまり食べないもので
今別に不快感
は無い
 
ただ涙が目から零れ落ちてきて
化粧は落ちつつある
だけだ
 
何が悲しいのだろう
 
何が寂しいのだろう
 
何が
 
何が不満なのだ私の眼球よ
脳よ
感情回路よ
 
悲しがるような思い出が私の人生にあ
たか
 
寂しがるような人間関係が私の人生にあ
たか
 
死ぬ事を不満に思うような遣り甲斐が私の人生にあ
たか
 
無いだろ
 
無いだろ
無いから死ぬんだろう
 
こんな人間性がこんな社会では不釣合いで
合わなく
生きていく才能が無いとわか
ているんだろう
 
厭世的な考え方ではない
私が厭なのだ
 
私自身が
周りではなく私自身を
私が嫌なのだ
 
もう少しで薬を食べ終わる
この後一気にオブラ
に包んだ薬を四包飲み込んで
日本酒を飲む
 
素敵だ
最後のこのやり方
死に際は私は私を少しは
好きになれそうだ
 
泣かないでよ私
てもう終わりだから
 
好きにな
て死にたいのよ
 
本当はも
とさ
と飲めればいいんだけど
そんな薬
は手に入らなくて
 
あと怖くて
 
意気地なしで
 
死ぬ場所も死に方も死に様も
考えると多方面に迷惑
がかか
 
でもこ
ちに出てきて良か
たね
生家のある向こう
よりこ
ちの方が死にやすい
 
都会は死ぬための場所だ
 
孤独で
無関心で
即物的で
成果主義で
機械的で
素晴らしい
 
薬の包みを日本酒で流し込む
 
流石に日本酒の量が多くて喉が熱い
 
温かいな
最後の最後で私の身体は温かい
 
眠くな
てきたのを必死でベ
ドに登る
 
あと少しだけ
あと少し
花束を持つだけ
少し頑張
れ腕
 
花を腕の一部だと思おう
 
これで
一生
目が
覚め
ません
よう

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