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ツァラトゥストラの食卓

本日の創作テ
モチ
お題は
無償の愛
かく語りき
#本日の創作テ
マモチ
フお題
ラト
ストラの食卓
 
 
朝目覚めると隣に寝息が聞こえる
まだ慣れない天
井を見つめて
視線を隣に移すと彼氏
いや旦那の寝顔
が見える
特に鼾も歯軋りも寝言も言わずに小さな呼吸
音だけが私の耳に届く
朝日がヘ
ドボ
ド上の窓から
注いでいて
眩しいのか大分私の元に彼の頭がもぐりこ
んできていた
寝ている最中の行動を咎める気はないが
ダブルベ
ドで彼は私に寄り添うようにこちら側に身体
を寄せてきて
私は狭いスペ
スに追い込まれている
と広いベ
ドが良か
たし
そもそも私は別
のベ
ドで寝たか
そんな事は彼の一緒に寝たいの一言で
砕かれ
いつか別
になるだろうという期待と共に私は
自分の意見を押し殺した
新婚というものは
一緒にく
付いて寝なければならないらしい
抱きあ
て睦みあ
て寄り添いあ
て寝る
というのが美しき新婚夫婦の床
だから私は大人しく我慢するのだ
彼を愛している
から
 
彼を起こさないように身体を床に滑り落とす形でベ
ドから抜けて
スト
ルを巻いてジ
ドピケで買
たふわふわしたル
ムシ
ズを履く
彼が一緒に行
た時に選んだニ
ハイタイプのロングソ
クスはシ
トパンツを履くことが大前提にな
ているもので
一晩
二晩ならば我慢出来るけれど一緒に暮らし始めた今では
防寒の面で意味を成さず箪笥の肥やしとな
ている
冬にトランクス一枚と靴下で居るようなものだ
布団の
中ならまだしもル
ムウ
アとしては難しい
付き合
ていた時代は家の中で肌出しが基本だ
た装いの私が
今は完全防備がメインにな
ている
スト
ブがタイマ
に合わせて動いているのを確認すると
嗽をして寝起き
の顔を洗い
ルインワンのクリ
ムを塗りつけてキ
チンに向かう
ひやりとした空気が少しずつ暖気に侵食
されてくる
一人のこの時間は大好きだ
 
エプロンを着けてキ
チンで朝食の支度をする
この
エプロンは結婚祝いだと彼の友達が持
てきてくれたも
のだ
ワンピ
スのような可愛らしいデザインで最初は
どうだろうと思
たが
案外使い勝手が良く
愛用させ
て貰
ている
朝食を前はご飯とパンを聞いていたが
家の近くに美味しいパン屋さんを見つけて平日はパンに
しようと話し合
て決めた
ブルの真ん中にパン篭
を置いて
牛乳とブラ
クコ
のペ
トボトル
グカ
プを用意する
お湯を沸かしてテ
トに紅
茶淹れるのと同時に
横の片手鍋にコ
ンス
プの缶を
開けると温ま
てから少しずつ牛乳を入れる
私は朝は
紅茶と豆乳を飲むけれど
彼は自分で配合したカフ
レとコ
ンス
プを飲む
両方用意するのが特に苦でも
ないので
譲る気はなく
食卓にはそれぞれの飲み物が
並ぶ
最初は手作りしようかと思
ていたコ
ンス
もホテルの缶詰がとても濃厚で美味しいことを知り
れを利用している
昨日の夜のうちに洗
て千切
てお
いたレタスに胡瓜とミニトマトを添えて
まとめて作
てあるポテトサラダとハムを置いていく
出来上が
ンス
プをス
プカ
プに注いで
ブルにそれ
らを並べて淹れた紅茶で一息つく
胃の中に温かいもの
が広が
鼻をイングリ
ブレ
クフ
ストの良
い匂いが通り抜ける
その後
新聞を取りに行
面記事を確認しながらキ
チンに戻
て豆乳を電子レン
ジにセ
トする
新聞は二部取
ていて
各紙の一面を
読みながら紅茶と豆乳を飲み終えると
寝室に一度戻る
あなた
起きてください
 
目覚まし時計はただただ時刻を伝える機能しか使われ
ておらず
私は夫を揺さぶりながら笑顔を作る
夫は重
たげな目を微かに開きながら
おはよう
と言うと布団
にもぐりこむ
布団ごと抱きつくように揺すると夫は完
全に起きる
お寝坊さん
などと反吐が出そうな言葉と
共に頬にキスをして身体を離すと
私は寝室の鏡台で軽
くパウダ
ンデをはたいて眉毛とアイラインを引く
とキ
チンに戻
 
ンス
プのス
プカ
プを電子レンジに入れて
新聞を綺麗に畳んで彼側に揃える
電子レンジの時間を
間違えるとス
プに薄膜が出来てしまうから
彼がこの
食卓に現れた途端にセ
トする三十秒という時間が大事
冷蔵庫から無糖ヨ
グルトの容器を取り出してガラ
ス皿に盛り付け
予めブレンドしておいたブル
ベリ
とクランベリ
クスベリ
の粒を載せて
蜂蜜を一
滴だけ入れると
荒くかき混ぜる
それに小さなテ
スプ
ン添えてテ
ブルに出す
コンロに戻るとフライ
パンを弱火で温めて
その間にメレンゲ作
て黄身と合
わせる
温ま
たフライパンにバタ
を溶かすと卵を入
れて
粉チ
ズを散らすと丁寧に形成する
皿に盛ると
今日も綺麗に出来た事に満足して落とさないように運ぶ
箸立てを出して
ナプキンを配置する
おはよう
 
ワイシ
ツとスラ
クス姿の彼が起きてきて
自分の
席に着いたので
おはよう
と返事をしながら電子レン
ジのボタンを押した
彼はテレビの電源を入れてから食
卓について
横にある新聞を開きながらマグカ
プに牛
乳を注いでいる
パン温める
と聞くと
うん
と返事
が来た
チン
と電子レンジが止ま
プカ
を取り出すとそれにパセリと胡椒を散らして彼の元に置
いて
スタ
に入れたパンの様子を見た
今日も遅いのかしら
夕飯はどうしたらいい
わからないな
帰れたら早く帰
てくるよ
そう
美味しいもの作
て待
ているわね
頑張
て帰
てくるよ
 
無理しなくていいわよ
と笑顔で答えて焼けたパンを
差し出すと目の前に座
ている紅茶をカ
プに
注ぎいれた
本当に無理なんかしなくていい
そして出
来るならば早めに帰
て来れない連絡をして欲しい
し温くな
た紅茶を口に含む
香りが薄くな
てしま
ていてあまり美味しくない
今日の予定を適当に聞いて
自分の予定も伝える
今日はドラ
クストアのポイント
倍サ
ビスデイなのでそれに行くくらいしか予定は無い
あまり天気も良くないし
洗濯も出来そうにない
ただ
クリ
ニング配達が来るから長時間外に出れそうにもな
風呂の大掃除でもしようかしら
と考える
 
彼が無言でご飯を食べている前で笑顔を崩さないよう
にしながら朝食を口に運ぶ
彼の動向に目を光らせなが
クロワ
サンをパン屑を零さないように気をつけて
咀嚼する
 
テレビからは今朝のニ
スが流れていて
お互いに
酷いね
だとか
そうなんだ
だとか適当な感想を言い
合う
たまに話し合うこともあるけれど
あまり喋り過
ぎると議論のようにな
てしまうので
知らなか
なんて言葉で濁している
褒めておけば男女関係は上手
くいく
そうや
てここまでや
てきたのだ
 
彼と玄関でい
てら
いの挨拶をしながらも一緒
にゴミを持
て家を出て
当然私だけ一人帰
てくる
食卓に綺麗に重ねられたお皿を見て溜息をつく
運ぶの
には有難い
有難いけれど
油を使
ていないコ
プや
グルト
サラダの皿はお湯や水で洗
オムレツ
とパンの皿は洗剤で洗いたいのだ
けれど
皿の大きさ
の問題で下からパン
サラダ
オムレツ
グルトの
順で重な
ていて全て洗剤洗い行きだ
そのままでいい
の私の言葉は本当にその通りなのに上手く伝わ
事はない
結局私の皿も彼と一緒の時間にゴミ捨てに出
るので放置したままには出来ず
重ねてしまわなければ
ならない
ああ
上手くいかないものだ
 
それでも日中一人で好きな要領で家事を出来るのはと
ても気が楽だ
余計な横槍で仕事が中断するのが面倒だ
たので
専業主婦という仕事の凄く気楽な点だと思
いる
朝食の皿を洗
てから
リネンを替えて
布団乾
燥機をかけて
上から下にかけて軽く拭き掃除をする
と髪の毛を整えて化粧を直すとドラ
クストアに向
今朝チ
クしたチラシに柔軟剤と生理用品が
安くなると載
ていた
いつも買うペ
トボトルや豆乳
の紙パ
クも忘れずに
と考えながら車に乗る
買い物
と彼の送迎ぐらいにしか使わない車は
未だにあまり慣
れない
買い物を終えて家に帰ると
昼食
面倒臭いか
らご飯を盛
て用意してある海苔やら梅干やら鮭フレ
クなんかでおしまいだ
食べたい時は食べる
食べたく
ない時は食べない
それが可能なのがお昼でとても楽だ
くりと食後のお茶を味わう
ぼんやりしていると
結婚とはなんだろうな
と考える
独身だ
た時仕事一
筋で恋愛など二の次で後は趣味のライブに通う生活して
いて
終電で家に帰
てきてコンビニで買
た弁当を部
屋で食べて
パソコンで次行くライブを調べていた時
ふと
と私は私のことば
かりで生きているな
自分のために仕事
趣味
孤独にワンル
ムで
コンビニ弁当
自分のために生き
自分のために暮らし
自分のために消費している
もう
自分のためいいや
他人のために生きたい
そう深夜一時過ぎに悟
たのだ
そこから一気に婚活を始め
花嫁修業を始め
今の旦那
を見つけ
自分の中のチ
ク項目をクリアした一番良
い異性だ
たので尽くして結婚にこぎ付けた
そう
のため
彼のために生き
彼のために暮らしたいという
希望はある意味叶
ている
今現在
彼を無償に愛する
というやりたい事を成し遂げているのだ
お茶が無くな
たので
休憩を終えて立ち上が
 
クリ
ニングに出すワイシ
ツの汚れやボタンをチ
クする
以前そのまま出していたら染みがあ
たようで
染み抜きしておきました
と結構な値段取られたし
認していない怠慢を責められたような気がして不快だ
だから今は毎回出すシ
ツを確認している
クリ
ニング配達を待ちながら風呂掃除をいつもより念入りに
していると
それに集中してしま
たようで気付いたら
玄関チ
イムが鳴
ていた
急いで手袋を脱いで
イン
ンで対応すると玄関に走る
玄関に既にワイシ
ツや背広入りの籠を置いてあるので
笑顔で迎え入れて
籠の中身を確認してもらう
お待たせしち
てすみません
いえいえ
結構寒くな
てきましたよね
そうですよね
私もさ
き外出てび
くりしち
いま
した
ト厚めでマフラ
とか完全防備じ
ないとい
けませんよね
私も回
ていて結構風冷たくてび
くりですよ
わかります
スト
ルとかもクリ
ニング出せますよ
はい大丈夫ですよ
 
クリ
ニング配達は少しどきどきする
最近急に担当
替えがあ
今来てくれている男の人は一週間前から
なので
まだ人となりがよくわからず
赤の他人を部屋
に入れる怖さが残
ている
ぽい笑顔が少し苦手で
今まで来てくれていた人が人の良さそうなお婆さんだ
たので余計に薄ら寒い
なので玄関も常に綺麗にして
鉢植えを置いて花を飾るようにしている
綺麗にしてお
かないと怖いのだ
何となく
 
配達業者の方を見送
風呂掃除を終わらせて夕飯
の買い物に出る
美味しそうで新鮮な食材を選んでいる
彼から連絡が入
今日帰れそう
という通知だ
複雑な思いを抱きながら
急がなければと食材をさ
さと選んで家に戻
夕飯を作り
お風呂を沸かし
タオル等を用意して
彼をお出迎えして
ご飯を食べて
片付けて
手早く風呂を済ませて
手早くスキンケアを
して
と笑顔でず
と笑顔で
 
彼の横で床に就く時
何故か酷く疲れていた
抱き寄
せられる腕も重たく
面倒臭く
でも恥ずかしそうに寄
り添
ああ
明日も五時起きだ
 
朝目覚めると隣に彼は居なか
驚いて跳ね起きて
時計を見ると七時をさしていた
 
スト
ルを羽織ることも忘れて食卓に急ぐとそこには
いつも私が行
ている通りの朝食が並べられていた
と牛乳パ
クとマグカ
パン篭と温めたパン
プカ
サラダの皿は綺麗に盛られていて
グルトと厚めのオムレツ
箸立てにナプキン
私側には
紅茶のカ
プが置いてある
彼は私に笑顔を向けて
はようと言
 
どうして笑えるのだ
どうして怒
ていないのだ
は私の役割を出来なか
たのだ
すり寝てたから
たまには息抜きするといいよ
ごめん
ごめんなさい
あの
ご飯
わか
ある程度は
でもオムレツが君ほどふわふわにならな
いんだ
てかそんなに急がなくて大丈夫
寝てていいよ
ゴミ出しもして会社行くよ
疲れが溜ま
てたんだよ
君はいつも完璧だから
 
それはだ
貴方を愛しているから
無償に愛して
いるから
完璧じ
ないと無償に愛していることになら
ないから
それなのに貴方は何でも出来るんだ
私を必
要としないんだ
あり
がとう
でも
ゴミ出しとか
するから
大丈夫大丈夫
 
笑う彼に何かが違う
と思
て吐き気がした
違う
互いに協力し合
お互い補い合
そんなのは私
が人のために生きていることにならない
貴方が稼いで
くる分
人並み以上に家事をしなければ私が貴方のため
に生きていることにならないのだ
 
朝日が降り注ぐ窓から
今日はとても良い天気である
ことを知る

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